ロシア出身のカサトキナ、2年ぶりにイギリスで試合に出場。試合後には家族への不安も吐露

ロシア出身のカサトキナ「ウィンブルドンも含め、このような大会に出場する機会を得て、本当にうれしい」

現地6月26日、ロシア出身のダリア・カサトキナ(世界ランク11位)が2年ぶりにイギリス国内で行われる「ロスシー国際」(イーストボーン/WTA500)に出場。1回戦勝利後には、最近ロシア国内で起きた反乱行為について「最低な気分」と語り、家族への不安も明かした。

ロシア出身のカサトキナは、ウクライナとの戦争が続いていることによりイギリスでの試合を禁止されていたが、今年は出場を容認され2年ぶりにウィンブルドンに出場することができる。

その前哨戦となった「ロスシー国際」1回戦では、ウクライナ選手を6-3、6-1で下し、2回戦に進んだ。「ほぼ満員の観衆の中でコートに立つことができて本当に楽しかった。ウィンブルドンも含め、このような大会に出場する機会を得て、本当にうれしいわ」とイギリスで久しぶりに試合ができることを喜んだ。

全仏オープン時には、ウクライナ選手がロシアやベラルーシの相手と試合後の握手をしないという立場をとっており、観客からはブーイングもあった。この日の試合後も審判と握手するだけとなったが、観客からは温かい拍手もありコートを去った。

「もちろん今日のような経験の方がずっと気分がいい。ただ、ウクライナ選手たちの立場は明確で、私たちはそれを受け入れて、立場を尊重しなければならない」と、カサトキナは試合後の握手がないことは仕方のないことだと受け入れた。

母国がウクライナを侵攻して以来、反戦の意志を示してきたカサトキナは、毎日ロシアとウクライナのニュースを追っているという。その中、最近ではロシア国内で民間軍事会社のワグネルが反乱を起こしたというニュースもある。

これにカサトキナは「正直、最低な気分ね。隠すつもりもないわ。こんなに長い間、このような状況に直面するのは辛い」と胸中を明かした。自身はドバイに拠点を置いているものの、両親や友人らの多くはいまだロシア国内に居住。「ここ数日は現地でも大混乱。心配しているわ」と友人が住む都市にワグネルが侵攻したことで、他の街に行くように勧めたという。

「残念ながら私たちはこのシナリオの中で生きていかなければならない。大変な1年だったし、それがいつまで続くかわからない。ニュースを追うしかないの。終わりは見えないし、ただ受け入れるしかない」と述べ、「私個人としては、このシナリオの中で良い人間であろうとしている。それしかできないし、テニスという自分の仕事をするだけよ」とコート上では切り替えて戦いたいとした。

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