熱海土石流崩落の起点に残る土砂「6月末に撤去完了へ」川勝知事表明 費用の回収「妥協なしに」

静岡県熱海市の土石流災害からまもなく2年となります。川勝知事は6月27日、崩落の起点に残る土砂の撤去が6月末に完了することを明らかにしました。被災地に立ち入ることができない「警戒区域」の解除に向け一歩前進です。

<静岡県 川勝平太知事>

「不安定土砂の撤去もほぼ完了して、めどがついた。まだ完璧ではない、今月末、7月3日の追悼式前には終えたい」

川勝知事は27日の会見で、2021年7月に発生した熱海土石流について、崩落の起点に残る不安定な土砂の撤去が6月末に完了すると説明しました。県によりますと、撤去した土砂を7月上旬には熱海港に搬出できるということです。

<熱海市 斉藤栄市長>

「9月1日を警戒区域の解除予定日といたします」

熱海市は土砂の撤去などが完了すれば、被災した地区に立ち入ることができない「警戒区域」の指定を9月に解除する方針です。

県は当初、5月末までに土砂を撤去する計画で進めていたものの、雨や軟弱な地盤の影響で撤去作業が遅れていました。ただ、6月末に土砂の撤去が完了することで、9月に予定されている「警戒区域」の解除への影響はないとしています。

一方、土砂の撤去などの工事費用の面では懸念があります。工事費用は最終処分まで含めて14億円に上ると見込まれていますが、土地の元所有者側は「自分たちが撤去する根拠がない」などとして措置命令の取り消しを求める訴訟を起こすなど、費用の回収は不透明な状況です。

<静岡県 川勝平太知事>

「熱海土石流の悲劇を踏まえてのこと、妥協なしに手続きを進めるという大方針でやっていく」

県は工事費用の総額がまとまった段階で業者に請求し、支払いに応じない場合は財産の差し押さえなどの対応も検討する方針です。

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