Moto2:前半戦苦しんだ小椋藍、復活の狼煙を上げる「この表彰台は僕にとってとても特別なもの」/第8戦オランダGP

 6月25日、2023年MotoGP第8戦オランダGP Moto2クラスの決勝がTTサーキット・アッセンで開催され、小椋藍(IDEMITSU Honda Team Asia)は今季初の表彰台となる2位を獲得した。

 小椋は、2022年シーズンにMoto2初優勝を飾り、最終戦までチャンピオン争いを演じるなど大躍進のシーズンとなった。しかし、今シーズンは開幕前の左手首の脱臼骨折もあり、前半戦は苦戦を強いられていた。開幕戦を含む序盤2戦を欠場、さらに前大会までのベストリザルトは9位と厳しい戦いが続いていた。

 しかし、サマーブレイク前最後となる今大会の小椋は一味違った。初日を総合4番手で終えると、2日目のP3ではトップタイム1分36秒000をマークし、コースレコードを更新。さらに予選Q2では3番手を獲得してフロントロウに並び、復調の兆しを見せていた。

Moto2:予選でフロントロウを獲得した小椋藍(IDEMITSU Honda Team Asia)/2023MotoGP第8戦オランダGP

 迎えた決勝はアロンソ・ロペス(MB Conveyors SpeedUp)がホールショットを奪い、小椋は2番手に続き、3番手にはジェイク・ディクソン(Inde GASGAS Aspar Team)がつけた。数周終えた時点で、すでにトップ3台が4番手を引き離してややリードを広げる形となったが、ペドロ・アコスタ(Red Bull KTM Ajo)も周回を重ねるごとに差を縮めていた。

 そんななか、9周目にディクソンが小椋を捉えて2番手に浮上。さらにトップ4台のギャップはほとんどなくなり、予断を許さない状況が続く。13周目にはディクソンが先頭に代わり、さらに翌周には小椋もロペスのイン側からマシンをねじ込んで2番手、続いてアコスタも3番手に上がる。

 ギャップを広げていくディクソンだが、15周目の5コーナーでミスがありややオーバーラン。その隙をついて小椋がトップに浮上し、アコスタが2番に続いた。しかし、そのあとアコスタが最終コーナで挙動を乱してしまい、再びディクソンが2番手に上がるが、小椋は後方を約1秒ほどに広げていた。

Moto2:小椋藍(IDEMITSU Honda Team Asia)/2023MotoGP第8戦オランダGP 決勝

 しかし、ディクソンもキャリア初優勝がかかっているため、小椋に食らいつき挽回を図る。さらに残り5周、アコスタにはロングラップペナルティが科され、消化するもラインをはみ出してしまい、再度消化しなくてはならなくなった。その影響もあり、アコスタとトップ2台との差は約3秒ほどに広がり、優勝争いは小椋とディクソンの2台に絞られた。

 残り2周、ホームストレートで2台が並び、1コーナーでディクソンが前に出る。小椋はそれによりやや膨らんでしまい、1秒ほど離れることになった。最後はそのままディクソンがトップチェッカーを受け、小椋は2位に続いた。3位には2度のペナルティを受けるも、最後ロペスとの接戦に競り勝ったアコスタが入った。

 トップ集団の4人にさまざまなアクシデントがあり、接戦が繰り広げられた今回のレース。そんななかでも小椋は、落ち着いた走りで今季初表彰台を獲得して前半戦を締めくくった。苦しい戦いが続いていただけに、この表彰台は小椋にとっても嬉しいものとなっただろう。復活の狼煙をあげた小椋が、後半戦にさらなる活躍を見せてくれることに期待したい。

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︎IDEMITSU Honda Team Asia小椋藍(決勝:2位)**
「優勝を逃してしまったので、少し複雑な気持ちです。自分のペースで走っていましたが、ディクソンはもう少し速さがあり敵いませんでした。厳しいシーズンの序盤から、再び表彰台に戻ってこれたことは本当に嬉しいです」

「夏休み前に今季初めての表彰台を獲得できたことは、精神的にもとても重要でした。この表彰台は僕にとってとても特別なものになりました。僕を支えてくれたチームに感謝しています」

Moto2:2位表彰台を獲得した小椋藍(IDEMITSU Honda Team Asia)/2023MotoGP第8戦オランダGP 決勝

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