「7年後の日本開催サミットはジャーナリストとして…」G7広島サミットを記録した高校新聞部 広島・崇徳高校

5月、広島市を舞台に開催されたG7広島サミット。

世界中のメディアが集まる中、取材活動に奮闘する地元の高校生たちがいました。崇徳高校・新聞部です。

崇徳高校 新聞部
「後ろがビースト?」「そっち側に出るぞって伝えて!」

サミットの議題や首脳たちの動きを、丹念に取材して歩きました。

3年 藤原綾香 副部長
「カナダのトルドー首相が、沿道の人に手を振っている瞬間の写真です」

期間中に撮影した写真は、なんと2万枚以上。部員たちは今、取材の成果を発表する「サミット特集号」の編集作業に追われています。

3年 川畑悠成 部長
「 ”ゼレンスキーさんが来る” となったときはシーンとして、街が。静けさがあって」

3年 山村菜々花さん
「ドキドキワクワク。(首脳が)こんなに近くを通ることないんで」

「深掘りニュースDIG」はサミットを記録した崇徳高校・新聞部に迫ります。

崇徳高校の新聞部といえば全国大会でも最優秀を受賞したり、海外メディアからも逆取材を受けたりと活躍しています。高校生たちは広島サミットをどう記録したのでしょうか。

崇徳高校 新聞部 顧問 花岡健吾 教諭
「ピリピリ感があったけど、実際にゼレンスキーさんの顔を見たら空気が変わった…。ここに入るのかな…」

部員数200人を誇る崇徳高校・新聞部。3年生の10人が急ピッチで進めているのが「サミット特集号」の編集です。この日は1回目の編集会議。顧問の花岡健吾先生も加わって、記事の内容や見出しの大きさについて確認していきました。

3年 須原乃愛 さん
「新聞作りの基礎をやっぱりやらなきゃいけないなと。指摘が1個1個刺さる。鋭い指摘が入って、“あー” って…」

顧問 花岡健吾 教諭
「生まれ育った街が世界から注目されるまたとない機会だと思いますし、最初は主要7か国の首脳にインタビューしたいというのがスタートで。やりたいことは何でもやってみたらいいんじゃないかと」

期間中の写真は2万枚!沿道で待ち構えて車列を撮影 首脳に最接近も

手探りで始まったサミット取材。期間中は40人の部員たちが、厳戒態勢の街の様子や首脳たちの動きを追いかけました。

首脳たちの移動のたびに大規模な交通規制が実施された広島市内。目標の1つが首脳の車列の撮影でした。部長の川畑悠成さんも沿道で待ち構えた1人です。

3年 川畑悠成 部長
「それまでもビーストを撮る機会が何度かあったんですよ。2~3回くらい。でもバイデンさん自体は撮れていなかったので、(撮影できて)すごくうれしかったですね。取材者として楽しかったというか、高校生活の中で意義深かったし、大人になってからもこの経験は一生いきてくるだろうなと思いました」

坂田勇太さんは、街で見かけたサミット関係者の動きを追っていく中で、イタリア・メローニ首相の撮影に成功しました。

3年 坂田勇太さん(G7広島サミット取材特別遠征班 代表)
「すごく手を振ってくださって、ぼくと部長で ”こんにちは” って言ったら、”やあ!” みたいな感じで返してくださって。いつも通っている場所だったんですけど、その場の雰囲気は全然、違ったっていうか、一国のリーダーが持つ独特のオーラっていうのはやっぱり感じました」

住民や関係者以外、立ち入りが制限された広島市南区元宇品地区。この地区に住む杉田晴哉さんは、サミット期間中、ずっと元宇品にとどまり、街の様子を記録しました。

元宇品に入る検問所で
「(警察)報道の方かと思っちゃった」「(杉田さん)高校新聞部です」「(警察)こっちから手荷物検査にご協力ください」

元宇品に住む3年 杉田晴哉さん
「自分はグランドプリンスホテルと車列が一緒になっている写真は、住民以外は撮れないので、それを狙って撮りました。人生ではできない経験だと思ったし、貴重な体験ができたなっていうのが、自分の中でプラスになったと思います」

ゼレンスキー大統領電撃訪問 新聞部が編集中の「サミット特集号」とは

世界が注目したウクライナ・ゼレンスキー大統領の電撃訪問。街中の緊張が高まる中、部員たちも人垣に混じって大統領の姿をとらえました。

「特集号」は全部で16面。ゼレンスキー大統領についても1面と12面で大きく扱うことにしました。また、被爆者のサミットの受け止めや、市民団体の記者会見に出席して、少数民族など世界の問題に幅広く触れたこともていねいに記事にしました。

3年 坂田勇太さん(G7広島サミット取材特別遠征班 代表)
「自分は全く世界が見えてなかったなって、そこで気づいて。もしかしたら自分も世界の問題を解決できるかもしれないって、そこで思いました。自分にも何かできると。知らないことも、もしかしたら自分も関係しているのかも」

サミット取材に関わったことで、部長の川畑さんも将来の夢が形になってきたようです。

3年 川畑悠成 部長
「ぼくはもともと、将来も新聞記者というかジャーナリストになっていきたいと思っていたので、自分の夢がより一層なりたいなって思いが強くなったっていうのはありますね」

崇徳高校 新聞部 顧問 花岡健吾 教諭
「日本で行われる次のサミットにどんな形でもいいから関わりたい。取材でも、スタッフでもいい、役に立ちたいって思ったって子もいましたし、彼らの中で動き始めるいいきっかけになったと思います」

― 「サミット特集号」は7月、全校生徒や教員たちに計2000部が配布されます。

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