ロシアを子ども人権侵害国に指定 国連報告書、常任理事国で初

ウクライナのキーウで大きなミサイル攻撃があり、避難した地下鉄の駅で泣きじゃくる子ども=2022年12月

 【ニューヨーク共同】国連のグテレス事務総長は27日、安全保障理事会に提出した「子どもと武力紛争」に関する年次報告書を公表した。ウクライナ侵攻を続けるロシアを子どもの人権を侵害した国の一つに指定した。安保理の常任理事国が侵害国に指定されるのは初めて。

 国際刑事裁判所(ICC)も3月、ウクライナからの子ども連れ去りに関与した疑いでロシアのプーチン大統領に逮捕状を出した。ロシアへの圧力が強まりそうだ。

 報告書によると、国連はウクライナで昨年、ロシア軍と民間軍事会社ワグネルを含む親ロ派武装勢力の攻撃で子ども136人が死亡、518人が負傷したと認定した。爆発を伴う兵器による被害が大きかった。

 グテレス氏は報告書でロシア側の攻撃による死傷者の多さに「衝撃を受けている」と述べ、学校と病院への攻撃を避け、子どもを保護する対策を講じるよう求めた。

 報告書はウクライナ軍の攻撃でも子ども80人が死亡し、175人が負傷したと指摘し、ロシア側と同様に対策が必要だと警告した。

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