ワクチン接種後死亡、救済認定は1件のみ 栃木県内申請18件、国審査遅れ...

栃木県庁

 新型コロナウイルスワクチン接種後に死亡した人の遺族が、予防接種法に基づく国の救済制度で死亡一時金給付を申請した事案が栃木県内で18件あったことが、27日までに県への取材で分かった。国の審査を経て救済認定されたのは1件のみ。体調不良などでの医療費支給申請は89件あり、認定は3割以下の26件にとどまる。申請件数が多いことなどから審査が進まず、1年以上たっても結果が出ないケースがある。

 ワクチン接種後の副反応で医療機関を受診したり亡くなったりした場合、救済制度の対象となる。本人や家族が市町村に申請し、都道府県を通じて国が受理する。審査で「接種との因果関係が否定できない」と認定されれば、医療費や死亡一時金などが支給される。

 県感染症対策課によると、死亡と体調不良などを合計した全107件の申請は、6月9日までに県内19市町から寄せられた。昨年3月時点の37件から約3倍に増えた。申請者の性別や年代に偏りはなく、10歳未満も含まれるという。

 認定は27件、否認は5件で、残りは審査前か認否保留に当たる。2021年度分の申請でも結果が出ない例もあるという。死亡事案でこれまでに県内で唯一救済が認定された小山市民は、市を通じて遺族に死亡一時金が給付された。

 全国では26日までに申請7966件があり、認定は2881件、否認は405件、保留は92件だった。死亡事案で救済が認められたのは72件。政府は4月中旬、死亡事例の救済申請は684件と国会答弁している。

 同課によると、コロナ禍前は県内の救済申請はその他の予防接種で子どもを中心に年間0~2件程度で推移していた。当時は申請受理から半年~1年程度で結果が出ていたという。

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