通園バスに安全装置、栃木県の設置率47%で全国平均下回る

通園バスの安全装置設置状況(6月末時点)

 幼稚園や保育所などの通園バスで園児らの置き去りを防止するために設置が義務づけられた安全装置について、栃木県内の6月末時点の設置率は47.3%にとどまることが27日、こども家庭庁の調査で分かった。全国平均の55.1%を下回り、対応の遅れが浮き彫りになった。同庁は熱中症リスクが高まるとして6月末までの設置を求めていた経緯があり、自治体を通じて各施設に早期設置を求める通知を出すとしている。

 調査は5月22日から全国の幼稚園や保育所、認定こども園、特別支援学校などを対象に実施。回答した2万1343施設が保有するバス5万19台のうち、今月末までに設置済みか設置予定は2万7566台だった。

 設置が進まない理由として、政府は(1)日々の送迎に使うため設置できる時間が限られる(2)装置の注文から入手までに時間がかかる(3)取り付け作業の手間がかかる-の3点を挙げている。

 本県分では、297施設が766台を保有し、設置台数は362台だった。施設の事業別では幼保連携型認定こども園(71施設)が172台のうち設置が57台で、設置率33.1%と遅れている。指定児童発達支援事業所(27施設)は25.0%、放課後等デイサービス(85施設)は33.6%で、全国と同様に低い水準。一方、特別支援学校(12施設)は100%だった。

 設置の加速化を図るため、県こども政策課は今月13日に市町向け説明会を実施。施設側が設置費の補助を申請する際、設置時期の前倒しを促すなどしているという。同課の担当者は「早期に対応してもらえるよう、市町と連携し支援していきたい」としている。

 全国をみると、最も高かったのは石川県の77.9%で、低かったのは滋賀県の20.3%。

 通園バスを巡っては、昨年9月に静岡県牧之原市で園児置き去り死事件が発生。政府は今年4月から安全装置の設置を義務付け、熱中症に備えて6月末までの完了を目指していた。

 政府は1台当たり17万5千円を上限に設置費を補助する。一方、義務化後も1年間は経過措置としてバスに点検表を取り付けるなどの代替手段を認めている。

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