観光のDX先進モデルに…宿泊データ共有し事業者の誘客支援 福井県コンソーシアム、広告費50万円補助も

福井県観光DX推進マーケティングデータコンソーシアムの取り組み

 北陸新幹線福井県内延伸に向け、福井県観光連盟や地域商社、IT企業などで構成するコンソーシアムが県内宿泊施設の予約状況などのデータを収集し、エリア別の傾向分析に基づいた広告宣伝や誘客キャンペーンを事業者らと展開する。年内に10件程度の実施を目指し、データを活用した誘客のモデルケースとして公開していく。

 実施主体は、福井銀行の観光地域商社「ふくいヒトモノデザイン」と県観光連盟、福井新聞社など7団体で構成する「県観光DX推進マーケティングデータコンソーシアム」。観光DXの先進モデル創出を目的とした観光庁の実証事業に2年連続で採択された。

 昨年度は、県内の観光施設にQRコード付きのアンケートを配置し、集まった観光客1万8千人超の属性や満足度、コメントなどを観光DXのプラットフォームとなるホームページ「FTAS(エフタス)」で公開。県観光連盟HPのアクセス状況なども公開し、観光事業者が広報活動や商品開発にデータを活用するための基盤を作った。

 一方で「実効性のあるマーケティングを行うにはまだデータが足りない」(担当者)として、2年目は滞在時間の延長に向けて宿泊客のデータ分析に取り組む。あわら温泉など県内の約30宿泊施設に協力を求め、個人情報を除く予約状況や宿泊客数、属性などのデータ提供を受ける予定。エリアごとの予約状況や客室稼働率、客室平均単価などの宿泊実態を分析し、FTAS上で見える化。エリア全体の顧客層や予約時期の傾向などをつかみ、季節やターゲット層に合わせた広告宣伝や誘客キャンペーン、SNS発信などにつなげていく。

 宿泊客のデータは旅館やホテルにとっては「機密情報」とされるが、プロジェクトを主導する県観光連盟の佐竹正範・観光地域づくりマネージャーは「データの共有と活用で福井の観光の“稼ぐ力”を引き出すことができる。データが大量に蓄積すれば、将来的には人工知能(AI)を使った集客予測の高度化も可能で、エリア全体、県全体のプロモーションにも生かせる」と理解を求めている。

⇒【6月30日まで】コンソーシアムとの事業展開、申し込みはこちら

 実証事業に協力する宿泊や土産、飲食などの事業者(6社程度)には、データ分析に基づいて実施する広告の費用50万円を補助。販促の立案、実行、検証などにコンソーシアムの担当者が伴走し、各事業者のデジタルマーケティング人材の育成も支援する。今年12月をめどに誘客モデルの報告会も開く予定。

© 株式会社福井新聞社