「生活面で困ることが出るのでは」人口減少…次の県議選で選挙区がなくなる可能性?=浜松・天竜区

地元の声を吸い上げ、県に届ける県議会議員がいなくなってしまうのではないか。そんな心配の声が住民から挙がっているのが、浜松市天竜区です。浜松市は2024年1月1日から現在ある7区から3区へ移行します。現在、浜松市選出の静岡県議は15人いて、居住地を元に3つの行政区に改めると中央区11人、浜名区3人、天竜区1人になるのですが、天竜区は人口減少によって選挙区の人口が法律で定める定数に足りず、次の県議選から天竜区という選挙区がなくなる可能性が出てきました。

<山口駿平記者>

「浜松市天竜区です。大雨から20日以上が経ちましたが、崩落した道路はいまも復旧には至っていません」

6月2日の記録的豪雨によって、浜松市天竜区龍山町は国道につながるメインの県道が崩落するなど大きな被害を受けました。現在、龍山町の白倉集落の住民たちは細い山道を通る迂回ルートの利用を強いられています。白倉集落から町の役場まで従来は20分ほどで行けましたが、迂回ルートだと約1時間もかかります。さらに崩落した県道がいつ復旧するのか、メドがたっていません。

<住民>

「(復旧工事を)大急ぎでやってほしいと思う」

住民の死活問題ともいえるインフラ整備。これを県と進めていく際に住民が頼りにしているのが地域をよく知る地元選出の県議です。県議自身もその役目について、こう自負します。

<浜松市天竜区選出 中谷多加二県議(8期目)>

「県会議員という立場で、県の所管、河川、森林関係など、高校や警察もあるが、日ごろの生活に密着した事業も多い。天竜区を理解してくれる議員がこれからいなくなる、多分に生活の面でも困ることができるのでは」

復興の真っただ中にある浜松市天竜区ですが、次の選挙では人口減少によって単独の選挙区として議員を選出できなくなる可能性が高まっているのです。

公職選挙法では「議員1人当たりの人口」の半数に達しない選挙区について、単独の選挙区ではなく、隣の選挙区と統合すると定めています。6月1日時点で県の人口約355万9,500人を議員定数68で割った「議員1人当たりの人口」は約5万2,300人。単独の選挙区を維持するには半数にあたる2万6,100人ほどが必要ですが、天竜区の人口は約2万5800人。300人ほど足りていません。このままだと天竜区は隣の区と統合することになります。

<住民>

「こういうところの実際を理解していただけるかなとそれが心配です。この辺の事情をよく知ってるという人が一番必要だと思っていますね」

「困ったことだなと思いますよ。ますます衰退化していくんじゃないか、過疎化になっていくんじゃないかと思います」

<静岡県議会 選挙区等調査検討委員会>

「選挙区などの見直しについては、すみやかな対応が必要です」

県議会は6月28日、選挙区について検討するための委員会を開催しました。浜松市の行政区再編に伴い、人口に比例するよう議員定数を割り振り、見直していくことの必要性を確認しました。

<静岡県議会 議員選挙区等調査検委員会 良知淳行委員長>

「人口減少などの問題が重なるが、まずは西部を中心に県として条例をしっかり修正をかけていく」

天竜区の人口がこのままであれば、隣の浜名区と統合することは避けられなさそうです。天竜区選出の中谷県議は「地元の要望を反映させるため、市議会議員にも活躍してもらいつつ天竜区の事情をよく知る議員を育てたい」と話しました。

地元の声をできるだけ反映させるためにどうあるべきか、模索が続いています。

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