小林化工から400人転籍「トラストファーマテック」が後発薬の本格出荷開始 2023年度は6億錠生産

トラストファーマテックが一貫生産し初出荷した製品=福井県あわら市の同社工場(同社提供)

 ジェネリック医薬品(後発薬)大手のサワイグループホールディングスは6月28日、福井県あわら市の小林化工から生産設備と人員を譲り受けた子会社のトラストファーマテック(本社同市)が本格出荷を開始したと発表した。全ての工程を一貫して手がけた製品を26日に初めて出荷し、同社は「一つの節目であり、大きな一歩。後発薬の安定供給に貢献していきたい」としている。

 トラスト社は2021年12月に設立。沢井製薬を中核とする後発薬大手のサワイグループホールディングス傘下で、7カ所目の生産拠点となる。22年4月に小林化工から約400人が転籍し、コンプライアンス意識の向上や生産設備の整備などを進め、今年1月に沢井製薬生産工程の一部を請け負った製品の出荷を始めていた。

⇒小林化工が200超の製品を自主回収、製造部門譲渡で品質担保できず

 トラスト社で一貫生産し初出荷したのは、沢井製薬の高尿酸血症治療薬の錠剤。卸業者を通じ、全国の病院や薬局に流通する。本格出荷は当初4月ごろを計画していたが、生産品目が予定より増えたため準備に時間がかかったとしている。

 本年度は9品目(計6億錠)を生産し、25年度には20品目以上(計20億錠)に増やす計画。将来的には年間30億錠のフル操業を目指しており、新卒、中途採用を積極的に進めていくとしている。

 トラスト社の蓮尾俊也社長は「『なによりも患者さんのために』という使命を持ち、医療関係者に信頼される医薬品を提供し続けていく」とコメントした。

⇒品質不正が各社で発覚…後発薬の供給解消にめど立たず

 小林化工は20年12月、爪水虫などの治療薬に睡眠導入剤が混入したことが発覚し、全国で多数の健康被害が発生した。22年3月末までに工場と従業員の譲渡が完了し、23年4月1日付で医薬品製造販売業許可を廃止した。

© 株式会社福井新聞社