手作りまんじゅう人気、大分市「アイビー」閉店へ 87歳店主「体の限界」【大分県】

素材にこだわった手作りまんじゅう
愛される味を提供してきた87歳の相川カズヱさん=28日、大分市猪野
大分市猪野の「おやつの店アイビー」の店頭

 【大分】大分市猪野の「おやつの店アイビー」が30日、閉店する。店主の相川カズヱさん(87)=同市花園=が市生活改善連絡協議会(現市生活研究グループ連絡協議会)の仲間と始めて23年目。素材にこだわった手作りまんじゅうは人気で、午前中に売り切れるほど。現在、1人で切り盛りする相川さんが高齢になり、決断した。

 相川さんは由布市庄内町出身。20代から、農村女性らで組織する大分市生活改善連絡協議会に入り、生活の知恵を学んだ。60代の頃、総会で「ゆで餅など家庭料理が上手な会員が多い。経験を生かし、味の伝承をしよう」と提案。会員から出資金を募り、10人ほどで始めたという。

 商品はゆで餅、炭酸まんじゅう、イーストまんじゅうの3種類。小豆あん、芋あんがある。小豆は北海道産、芋は豊後大野市大野町産を使う。1個100円(税込み)で1日計150個を販売しており、予約でほぼ売り切れるという。相川さんは週6日、午前3時に長男の送迎で店へ行き、1人で作るが、「体の限界」と閉店を決めた。

 ボランティアで販売を手伝っている近所の60代女性は「寂しいが、おばちゃん(相川さん)の苦労を見てるから、続けてとは言えない」とうっすらと涙を浮かべた。28日に来店した大分市高田の男性(75)は「びっくりした。あんこがおいしくて頻繁に来ていた」と残念がった。

 相川さんは閉店を惜しむ客に「出会いがあれば別れもあるんよ」と答えているという。「あっという間の23年。産地や味にこだわり、研究を重ねた。自分はあまり食べないが、まんじゅうを作ることが大好きだった」と笑顔で話した。

 問い合わせはアイビー(097.521.7505)。

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