「新邪馬台国」建国50年の歩みを本に 宇佐市の高橋さん「勇気与えられたら」【大分県】

卑弥呼神社の前で自著を手にする高橋宜宏さん=宇佐市南宇佐
「新邪馬台国建国50年史」の表紙

 【宇佐】1980年代にブームとなった「ミニ独立国」。その先駆けとして名をはせた宇佐市の「新邪馬台国(やまたいこく)」の歩みをまとめた「新邪馬台国建国50年史 上巻」(梓書院・1650円)を、中心人物だった元宇佐市議の高橋宜宏さん(71)が出版した。「あの頃は宇佐を面白くしたいと夢中だった。挑戦しようとしている人に勇気を与えられたら」と話している。

 高校卒業後、大学進学で上京。その後、帰郷し、家業の飲食店を手伝いながら地元を盛り上げることをしようと考えたのが76年。高木彬光の推理小説「邪馬台国の秘密」にあった邪馬台国の宇佐説をヒントに「新邪馬台国」を建国するというアイデアを思い付く。周囲からは全く相手にされなかったが、80年に旧国鉄の「ミステリー列車卑弥呼号」を誘致したことをきっかけに全国から注目されるようになった。「周囲の目が一変し、うれしかったし、自信につながった」と振り返る。

 83年には全国の「ミニ独立国」を集め、「USAサミット」を開催し、86年にサントリー地域文化賞を受賞した。しかし、ブームになったことでかじ取りに苦慮し、86年には活動を休止した。

 「新邪馬台国―」には、その10年間の出来事を当時から保存している写真、議事録、新聞、雑誌などを基に事細かに記した。「最後は不完全燃焼で反省点も多いが、1人の人間からうねりをつくれることを多くの人に知ってほしい」と出来栄えに満足そう。

 今後は、活動を休止して以降の自身の取り組みを中巻、下巻とまとめ、半生を振り返る予定。高橋さんは「取るに足らない出来事でも50年間、続ければ重みがある。後世の人が笑って読んでくれるような集大成を目指したい」と話している。

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