<南風>フードエンタメの真髄

 約半年間、月2本のペースで執筆してきたこのコラムも、私の担当は最終回となる。食文化や飲食店の取り組みなどを紹介してきた。最終回では、私のビジネスを紹介したいと思う。

 グルメ情報メディアの運営を中心とし、最近では、フードイベント企画の相談を受けることが多くなった。もともと、フードイベントは、食品の魅力を消費者に届けるための手段として、提案してきたプロモーションの一つだったが、最近では商業施設の集客ツールとしても企画の需要が増えている。

 フードイベントを事業化した背景には、沖縄県には素晴らしい飲食店や、おいしい食材、食品が多くあり、その魅力を伝えるキッカケとなり、食産業を盛り上げる力になれたらという思いがあった。

 食を楽しむことをテーマとしたフードイベントは、非日常的な食体験を求める来場者であふれかえる。鉄板で焼く料理の音、カレーのスパイスの香りが広がり、ビールや泡盛を楽しむ人たちの笑い声が響き渡る。そんな風景を見ると、これこそが、私の仕事の原動力であると実感する。

 フードイベントは、まさに期間限定で実施できる、食のテーマパークと言えるのではないだろうか。そして、忘れていけないのが、飲食店のスタッフと料理こそが、フードイベントの主役であることだ。

 飲食店が出店するからこそ実現できる企画であり、料理人が作り出す世界観が、そのイベントの風景を作り上げている。だからこそ、フードイベントの出店で終わりにするのではなく、新たなお店のファン作りにつながる場になればと常に願っている。「あのイベントをキッカケに通ってくれている客がいる」という声を飲食店から聞くからこそ、私自身がフードイベントのとりこになっているのかもしれない。(下地友香、ちゅらグルメ編集長)

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