幻の駄菓子「亀子焼」半世紀ぶり復活へ 八戸・神明宮「茅の輪祭」名物 1日に無料配布

かつて神明宮の茅の輪祭の宵宮で売られていた駄菓子「亀子焼」。来月1日に復活し、市民に無料配布される(石橋富士保さん発行の冊子「亀子焼」より)

 青森県八戸市廿六日町の神明宮が30日~7月1日に行う「茅の輪祭」の宵宮でかつて売られていた駄菓子「亀子焼(かめこやき)」を、本鍛冶町町内会長の酒井亨さん(62)ら神明宮の近隣住民有志が今年の茅の輪祭で復活させる準備を進めている。1970年代に露店が出ていたとされる記録はあるが、やがて消滅したため「幻の駄菓子」といわれており、「恐らく50年ぶりの復活」と酒井さん。「懐かしい味を多くの人に味わってほしい」と1日夕、神明宮近くに会場を設け無料配布する。

 亀子焼は、焼き型に米粉を溶いた生地を流し、その上にあんこを落とし、さらに生地を加えて焼いたもので、楕円(だえん)の形状が亀の甲に似ている。50~60代の市民に聞くと「子どもの頃に神明さんのさかり(祭り)で食べた記憶がある」と懐かしむ人もいる。

 2002年、同市長者地区の住民団体「長者の未来を語る会」が亀子焼を復活させようと作り方や材料などの情報を集め、苦労して入手した焼き型を使って試食会を開いた。だがその後、亀子焼が日の目を見ることはなかったという。

 酒井さんは、同会の石橋富士保会長(当時)が作成した亀子焼の資料をまとめた冊子を参考に、同市長者公民館に保管されていた焼き型を活用して「試しに作ってみよう」と一念発起。1日午後5~6時、同市廿六日町35の2の空き店舗で亀子焼を作り、訪れた市民に配布する。なくなり次第終了となる。

 茅の輪祭は新型コロナウイルスの影響で20年から3年連続で中止され、今年は4年ぶりの開催となる。1日未明には、カヤで編んだ直径約2メートルの輪をくぐって半年間のけがれをはらう神事「茅の輪くぐり」が行われる。

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