2年前の豪雨で発生、大量の流木を巨大魚礁に 青森県下北地方水産事務所が30基計画

脇野沢漁港で組み立てられた巨大魚礁。7月中旬、佐井村福浦漁港の沖合に沈める=26日
魚礁底部に組み込まれた流木。カットした丸太を縦に並べている

 2021年8月に下北地方を襲った豪雨で発生した大量の流木を、県下北地方水産事務所が魚礁に活用する。今後、1基当たり20トン以上の流木を組み込んだ大型魚礁を、下北半島周辺の海に計30基沈める計画となっている。これにより、同事務所が現在管理している流木を全て使い切る予定。ソイやウスメバル、ヒラメ、アイナメなどのすみかとして新たな役割を担う。

 魚礁の沈設は、資源回復を目的にした水産環境整備工事の一環。同事務所によると、流木を組み込んだ大型魚礁を、初めて6月上旬に大間沖へ2基沈めた。

 流木は鉄網などでつくった円筒状の枠に縦に並べたり、籠の中に横に並べたりして、鋼材で組み立てた魚礁の底部に置く。小魚のすみかとなり、それにより大きな魚が集まる効果も期待できるという。

 むつ市の脇野沢漁港では5月の大型連休明けから、大型魚礁2基の組み立て工事が始まり、約1カ月で完成。高さはともに約21メートル、重さは約97トンと約79トンで、最大300トンをつり上げる作業船を使い、7月中旬に佐井村・福浦漁港の沖合約5キロ、深さ約110~115メートルの海域に沈設する。

 28日までの取材に、同事務所の原仁志所長は「豪雨災害で発生した流木を魚礁に利活用することで、下北地域の漁業の安定につなげていきたい」と話した。

 本年度以降、大間沖に5基、佐井・福浦沖には10基の大型魚礁を沈めるほか、東通村の白糠沖にも15基沈設する計画。流木を使い切った場合は、間伐材を活用する。

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