県と県高体連に2億9千万円の賠償命じる 教諭3人への請求は棄却 那須の雪崩事故・民事裁判

 那須町で2017年、登山講習中だった大田原高校の生徒など8人が亡くなった雪崩事故を巡り、犠牲者5人の遺族が責任者だった教諭3人と県などに損害賠償を求めた裁判の判決で、宇都宮地方裁判所は28日、県などに2億9200万円あまりの賠償を命じ、教諭らに対する請求は棄却しました。

 28日午前10時半過ぎ、11時の開廷を前に遺族らが険しい面持ちで裁判所に入っていきました。

 宇都宮地方裁判所の浅岡千香子裁判長は判決で、県と県高校体育連盟に対し、2億9200万円あまりの賠償を命じ、教諭らに対する請求は棄却しました。

 浅岡裁判長は判決の理由で「公務員が職務で損害を与えた場合は自治体に賠償責任がある」という国家賠償法の規定を引用し、3人の賠償責任を認めませんでした。

 一方、県と県高体連の責任については事故当日の朝に「気象情報を確認していれば雪崩事故の可能性を認識することができたが、講習会を中止しなかった」と指摘しました。

 公務員の職務による損害賠償責任は自治体が負い「故意または重大な過失」があれば、自治体は公務員に賠償負担を求めることができるとしていて宇都宮地裁の判断が焦点になっていました。

 これまでの裁判で原告の遺族側は、下見をしていない地点で訓練をしたとして「重大な過失がある」と主張し、講習会の責任者だった教諭3人と県などに合わせて約3億8500万円の損害賠償を求めていました。

 一方、教諭3人は国家賠償法上の規定により、公務員個人としての責任はなく雪崩の発生は予見できなかったと反論し、県側は、過失や賠償責任は認めた上で賠償額を争っていました。

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