宮下氏、青森県知事に就任 20年ぶりのトップ交代 「物価対策本部」7月立ち上げ

県庁に初登庁し、職員らに出迎えられる宮下知事=29日午前9時40分

 6月4日の知事選で初当選した前むつ市長の宮下宗一郎氏(44)が29日、知事に就任した。同日朝に県庁に初登庁し、職員への訓示、記者会見などを行った。部局長ら幹部職員を集めた庁議では、知事選で公約に掲げた「物価燃料費電気代高騰対策本部」について、7月中に立ち上げるよう指示。予算や人員などの政策資源を所得向上、短命県返上、教育といった重要分野に集中させる方針も示した。青森県の知事交代は20年ぶり。

 3月に市長辞職後、県内全域で対話集会を開き知事選に向けた政策を練り上げた宮下氏は、今後も現場の声を重視する意向。庁議では、8月にも知事と県民との対話集会をスタートできるよう、具体的な手法の検討を指示した。

 大規模な組織・機構改革を進める「県庁大改革」に着手すると改めて表明し、「県庁で働く職員が、自分の仕事で県民生活を豊かにしている、県政を前進させていると実感できるようにしたい」と語った。

 庁議後に開いた就任後初の記者会見で宮下知事は、物価燃料費電気代高騰対策本部は幹部職員による庁内組織とし、国の交付金を活用して各種対策を打ち出すと説明した。支援の内容は「これから関係団体や生活者の話を聞いて優先順位を付ける」とした。

 農林水産業の振興に関しては、1次産業従事者の所得向上を最重要視すると表明。所得を下支えする物価・燃料費高騰対策を充実させた上で、リンゴ、コメなど品目ごとの対策を打ち出す考えを示した。

 少子化対策を立案・検証する「青森こども未来県民会議」は、女性を中心にメンバーを集め、できるだけ早く発足させるとした。来年度予算の編成に向け、具体的な対策を詰める。

 財政運営については、健全化で実績を残した前任の三村申吾氏の路線を引き継ぐとする一方、スピード感を持って重点施策を進めるため、年度途中の予算の組み替えは「当然あり得る」と述べた。

 宮下氏は、むつ市生まれ。東北大学法学部卒業後、2003年に国土交通省に入省。14年5月、当時むつ市長だった父順一郎氏の急逝を受けて帰郷し、同年6月のむつ市長選で初当選した。3期目途中の今年3月、知事選立候補のため市長を辞職した。44歳での知事就任は戦後最年少で、下北出身の知事は戦後初。

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