「前衛」写真の精神、一新 富山県美術館で後期展

後期展で新たに展示された作品に見入る来場者=富山市の県美術館

  ●大辻、牛腸ら作品入れ替え

 富山新聞創刊100年を記念した「『前衛』写真の精神:なんでもないものの変容」(富山県美術館、富山新聞社、北國新聞社など主催)の後期展は29日、富山市の同館で始まった。写真家の大辻清司、牛腸(ごちょう)茂雄らの作品約200点を入れ替え、来館者が何気ない日常を捉えた作品の魅力に触れた。

 後期展は、大辻によるモノクロの「なんでもない写真」シリーズや牛腸のスナップショット的なカラー作品など前期展で展示していない作品に入れ替え、来館者に写真作品の奥深さを伝える。牛腸の1970年代の日常を撮った作品を鑑賞し、立山町のパート従業員草佳代さん(55)は「服装や髪形、建物などの雰囲気が懐かしく、子どもの頃を思い出した」と話した。

 企画展では、富山市出身の詩人・美術評論家瀧口修造、洋画家阿部展也らの作品や資料なども展示。瀧口が紹介したシュールレアリスム(超現実主義)思想から始まる4人のつながりや、写真に対する考え方などを紹介している。後期展は約450点を並べる。

  ●1日講演会

 大辻作品のアーカイブ構築に携わった九州産業大芸術学部教授の大日方欣一氏による講演会「大辻清司の実験室 1949↓2023」が7月1日午後2時から、県美術館3階ホールで開かれる。写真家高島史於さんのトークイベントは9日に同館で催される。

 後期展は7月17日まで。観覧料は一般900円、大学生450円、高校生以下無料。

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