埼玉北で初のシェア型書店、オープンから2年 ノスタルジックな外観、ファン増える どんな店、魅力に迫る

2周年記念イベント「一箱本の市」には都内のシェア書店メンバーも参加。会場となった2階和室で訪れた客と膝を突き合わせながら交流した=熊谷市本町の「太原堂」

 横長に仕切られた棚の一つ一つが、個性あふれる小さな本屋―。埼玉県熊谷市本町1丁目の太原堂は、本や雑貨を販売したい人に棚を貸し出し、店番も共同で担うシェア型書店。まちの活性化を目指す運営代表の白根拓実さん(23)らが「本を通じて、新たなつながりが生まれる場所を」と2021年に立ち上げ、今月で2周年を迎えた。

 星川通りから入った路地の角にある太原堂は、大学でまちづくりを学んでいた白根さんのアイデアから生まれた。地域活性化ワークショップの関係者が後押し。中学時代の同級生穀田武人さん(23)も運営に加わり、県北初のシェア型書店がオープンした。

 レトロな雰囲気の店舗は、空き家だった築50年超の毛糸屋を仲間らと共にリフォーム。ノスタルジックな外観に引かれ、思わず中をのぞいてみたくなる。かつて毛糸が並んでいた棚(90センチ×37センチ)の賃料は月千円(税込み)で、借り手は現在40人。それぞれの趣味や嗜好(しこう)が伝わる本や雑貨が並び、記された屋号から「どんな人かな」と想像が膨らむ。

 大学を卒業した白根さんの活動拠点が県外となったのを機に、棚主らが可能な日に交代で店番を務めることになった。強制ではなく「できる人ができる時に」のスタイル。開店当初から参加している熊谷在住の女性「雫月(しずく)書房」さんは「店番をすると、太原堂のファンが増えていることを実感できてうれしい」。白根さんも「首都圏を中心に増えてきたシェア型書店だが、店主となりお客さんと交流するタイプはまだ多くない。新たなコミュニティーの可能性が広がるはず」と期待を込める。

 10日に行われた2周年記念イベントへ訪れた越谷市の早川亜希さん(54)は「今日はたまたま通りがかった。熊谷にこんな本屋さんがあったなんて。棚主になってみたいですね」と声を弾ませた。

 午前11時~午後4時。営業日は不定期のため、太原堂のツイッターなどを参照。

それぞれに工夫を凝らしたレイアウトの本棚が並ぶ店内で談笑する白根拓実さん(右)と穀田武人さん

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