だまそうと駅近くでスマホ見る男…警官が逮捕 声の震えも聞き逃さぬ警官24歳、日頃から高いコミュ力 詐欺師だと見抜いた驚きの理由

旧越谷署の前で敬礼する小池大暁巡査

 埼玉県警察学校を卒業してから2年目の、越谷署地域課の小池大暁(ひろあき)巡査(24)が3月、職務質問で特殊詐欺の受け子の逮捕に貢献した。持ち前の積極性を武器に、粘り強い追及で犯人を見抜き、県警本部長賞などを受賞した。

 小池巡査は3月28日午後、周辺での予兆電話を受けて東武伊勢崎線大袋駅付近を警戒していたところ、スマートフォンを操作していた上下黒の服装と同じく黒の帽子とリュックサック姿の50代の男を発見。「警察官を意識しないように努めているように見えた」と感じ、職務質問を始めた。

 男は直接犯罪などに結び付く物などを所持しておらず、質問にも淡々と応じたことから小池巡査は一度男から離れた。しかし違和感を拭い切れず、男が駅を訪れた理由として話したアルバイトについて再び追及したところ、会社名を覚えておらず、声や手が震えるなど動揺を見せた。その後、メッセージを自動消去できる機能がある通信アプリ「シグナル」でアルバイト先との連絡を取っていることが判明。任意同行を求め、取り調べで特殊詐欺の受け子をやっていたことを自供した。

 男は前日の3月27日、越谷市内に住む女性(88)に孫を装って金を要求し90万円を奪ったほか、同様の余罪が複数特定されたとして逮捕された。被害額は計180万円。

 指導する同署の香月祥志警部補は、若手の中には職務質問を苦手とする警察官も一定数いるとした上で「(小池さんは)コミュニケーション能力が高い。職務質問にもちゅうちょせず取り組んできた結果」とたたえる。

 同署によると、今年1~5月末時点での同署管内の特殊詐欺被害認知件数は前年同期比27件増の48件で、被害金額は同比約1億3500万円増の約1億7千万円と件数、金額ともに県内で最も被害が大きい。同署の赤星誠署長は「この事例を署員にも共有することで、未然防止などの活動への機運がさらに高まればうれしい」と期待を込めた。

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