消費者庁・南雅晴課長「旅行は人格形成の糧、利益の保護を」

旅行業公正取引協議会の通常総会の来賓としてあいさつ

消費者庁の南雅晴表示対策課長は6月28日、東京・大手町で開かれた旅行業公正取引協議会の第39回通常総会に出席し、「旅行は新たな知見、経験を得るもの。景品・表示において適正な運用を行うことは、一般消費者の利益を保護すると共に、旅行者の人格形成に役立つなど重要な意味合いがある」と話した。

あいさつする消費者庁の南課長## 工夫を凝らし、景品・表示等管理の徹底を

南課長は、コロナ禍の現状について、「先日に福岡を訪れたが、街の中に人の動きが戻ってきたことが感じられるが、一方で国際情勢の不安定化や原材料の高騰など取り巻く環境はまだ厳しいところがある」と話し、コロナ禍が収まりつつある今だからこそ、さまざまな工夫を凝らしながら適用の運用を行うなど、公正競争における景品・表示等管理の徹底を求めた。

旅行はイノベーションを生むきっかけに

旅行について、南課長は「われわれ国民には移動の自由があり、憲法では22条に国内外への移動の自由を保障している。江戸時代では関所があり、勝手に飛び越えてはいけなかった。中世ヨーロッパでも生後は職業、移動において制約があった。だが、イギリスの産業革命で労働者を集めなければならないということで、いろいろな制限が撤廃され、移動も自由となった」と述べ、移動が需要の開拓、イノベーションを生むきっかけとなっていることを語った。

確約手続きの導入など、景表法改正を解説

南課長は、5月10日に「不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律案」が通常国会で可決されたことを紹介した。改正景品表示法(「不当景品類及び不当表示防止法」)は、公布の日(2023年5月17日)から1年半を超えない範囲内で政令で定める日から施行。今回の改正では、事業者の自主的な取り組みの促進、違反行為に対する抑止力の強化等を目的となっている。

整備事項は、①確約手続きの導入②課徴金制度における返金措置の弾力化③課徴金制度の見直し④罰則規定の拡充⑤国際化の進展への対応⑥適格消費者団体による開示要請規定の導入-について。

このほか、ステルスマーケティングに対する注意を喚起。消費者庁は憲法に違反するような事案が出た倍は、厳正に対処していく旨を強調した。

業界の自主ルールと行政の執行が車の両輪に

最後に「景品表示は60年を迎えた。社会の状況の変化に応じて対応するため、適宜改正等を行っていく。だが、業界の自主ルールが実効的に機能して初めて、行政の執行とこの公正競争規約が、いわば車の両輪として作用し、初めて法の目的は完全なものになる」と参加者に呼び掛けた。

取材 TMS編集部 長木利通

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