埼玉のイチゴ“あまりん”2年連続で日本一 秩父の農園が育てた絶品、リピーター大勢 客に選ばれる秘密は

自慢のイチゴをアピールする高野宏昭さん(右)と妻奈美子さん

 洋菓子メーカーのコロンバン(東京都中央区)が主催する第2回全国いちご選手権で、埼玉県秩父市下吉田のただかね農園が栽培する県オリジナル品種あまりんが2年連続の1位に輝いた。専門家らの審査ではなく客が購入した数で決めるのが特徴。園主の高野宏昭さん(49)は、「2年目はもらえないと思っていたのでびっくり。私だけではなくスタッフ一同の力」と喜んだ。

 同選手権は、コロンバンが全国27種のイチゴから味、色つや、大きさなどの観点で8種を厳選しワッフルに調理。2月に都内のデパートで期間限定で販売した。ただかね農園のあまりんは最多の227個を販売し、奈良県産の古都華(ことか)、和歌山県産のまりひめなどを上回った。

 おいしさの秘密は、ワイン堆肥を使った独自の地域循環型農法にある。秩父地域で取れるワインの搾りかす、キノコの廃菌床、米のもみ殻が堆肥の主な原料。高野さんによると、10年ほど前まで他県から堆肥を仕入れていたが、コストや安全面を考えて地元の資源に着目した。廃棄物として捨てられるものを再利用し、ごみの削減にも貢献する。年間で作る堆肥は約8トン。うち毎年6.5トンを使用し、残りは翌年以降のタネにする。毎年7月ごろ畑に堆肥を入れ、約2カ月間なじませた後、9月中旬からイチゴの栽培を始める。並行して8月ごろから翌年の堆肥作りを開始。土は1年かけて作る。

 「長い期間おいしいイチゴを取るには土作りが大事」と高野さんは力を込める。過去には他の農作物も作っていたが今はイチゴだけ。「いい畑を作るには最低でも10年、本来は100年かかる。私はイチゴと土を作っているんです」と屈託なく笑う。実際にイチゴの栽培面積約65アールに対し、土作りなどで別途30アールを使う。

 同社によると、あまりんの購入客はリピーターが多く、アンケートで「以前に買っておいしかった」「甘いイチゴが好きだから」「ハート形でかわいい」などの声が寄せられたという。

 今季のイチゴの生産は6月上旬で終了したが、次のシーズンは12月中旬から直売と宅配、来年1月中旬からイチゴ狩りが始まる。栽培管理の面で新たな投資も計画しており、高野さんは「来年は目に見えて味が上がると思う」と自慢のイチゴをアピールしている。

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