地震から復興テーマに 珠洲で映画「凪が灯るころ」撮影開始、来年公開

雅楽の練習風景を撮影する有馬さん(中央)=珠洲市正院町小路

 最大震度6強の揺れに襲われた珠洲市で、復興に向けて歩む市民の姿を題材にしたドキュメンタリー映画「凪(なぎ)が灯(とも)るころ」の撮影が29日始まった。生活の再建や祭りを運営する人の思いをありのまま記録し、発信する。

 制作するのは映像作家の有馬尚史さん(35)=東京都町田市=で、珠洲市にある金大能登学舎に通った経験を持つ知人の外山泰典さん(47)=神奈川県相模原市=がプロデューサーを務める。

 29日は地震で鳥居が倒壊した珠洲市正院町小路の羽黒神社で、正院町雅楽会の6人が神事に欠かせない龍(りゅう)笛(てき)や篳篥(ひちりき)の演奏を練習する様子を収録した。30日は市民から地震当時の様子を聞き取ったほか、市役所で泉谷満寿裕市長に撮影開始のあいさつをした。

 映画のタイトルには、穏やかな海の「凪」ような珠洲の人が、震災後、キリコに光が灯る祭りにどのように向き合うのか、記録して伝えるとの思いを込めた。

 有馬さんは3日まで滞在して撮影する。年内をめどに月1回、1週間のペースで珠洲を訪れ、来年の映画公開を予定する。

© 株式会社北國新聞社