充電わずか「思い切って通報」 迷子の男児保護、三郷工技高の生徒2人に感謝状 署長「警察官になって」

江田浩之署長から感謝状を受け取る土橋光希さん(右)と畠山幸太さん

 埼玉県警吉川署は27日、三郷市内の道路で、迷子になっていた三郷市に住む男児(5)を保護し、110番し、交通事故など命の危険を未然に防いだ八潮市の県立三郷工業技術高校1年生の土橋光希さん(15)と畠山幸太さん(16)に感謝状を贈った。2人は「命の危険性があったので、保護して良かった」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 同署によると、26日午後5時35分ごろ、土橋さんと畠山さんが自転車で帰宅途中、2人の目前を横切り、交通量の多い幹線道路に飛び出した男児を発見した。男児が車の往来を気にせず、車道の中央付近まで横断しようとしたため、危険を感じた土橋さんと畠山さんは、付近に保護者がいないことを確認して男児に声をかけた。男児からの返事はなかったものの、迷子になっていると推察した2人は、男児を抱え近くのコンビニ駐車場まで避難した。土橋さんが110番。署員が現場に到着するまで、畠山さんは男児が一人で飛び出していかないよう抱きかかえて保護した。

 同日夕方、男児の父親から同署に行方不明の届け出があり、捜索を開始した直後に土橋さんから通報があった。署員は現場に向かい男児を保護し自宅に送り届けた。

 土橋さんは「110番は事件事故など重大な状況時に通報するものだと思っていたので、かけるのは勇気が要った。充電もわずかだったので、思い切って通報した」と語った。畠山さんは「自分たちが保護しなかったら事故に遭う可能性が高かったので声がけをして良かった」と喜んだ。

 感謝状を手渡した江田浩之署長は「行動を起こしてくれた2人の勇気に感謝します」と謝辞を述べ、「将来、警察官になってくれないかな」と誘っていた。

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