勝城蒼鳳氏しのび特別展 大田原、7作品と道具や愛用品展示

勝城さん愛用のつえを見つめる藤沼さん(中央)

 【大田原】1月に88歳で死去した重要無形文化財保持者(人間国宝)で名誉市民の竹工芸家勝城蒼鳳(かつしろそうほう)さんをしのぶ市主催の特別展示会が1日、南金丸の市那須与一(なすのよいち)伝承館で始まった。市所蔵の「かげろう」など勝城さんが手がけた7点の作品をはじめ、制作で使われた道具や愛用品の数々を展示している。23日まで。

 展示作品は、日照りが続いた後の待望の恵みの雨を表現した「慈雨(じう)」、昨年秋の日本伝統工芸展に出品した「雲雀(ひばり)の里」など。このほか、制作に使われた「竹割鉈(なた)」や愛用していた自作のつえなど関連の34点も紹介している。

 この日は同館でオープニングセレモニーが行われた。関係者や親族ら約100人が参加し、勝城さんと親交が深かった竹工芸家らが思い出を語った。

 市在住で人間国宝の竹工芸家藤沼昇(ふじぬまのぼる)さん(78)は「勝城先生が人間国宝に認定された時は(九州などで盛んな工芸だと感じていただけに)本当にびっくりした。大きな目標ができたと同時に少しでも近づきたいと思った」と振り返った。

 県立美術館の鈴木(すずき)さとみ主任研究員は、同館の展覧会でのエピソードを紹介したほか、展示作品の解説も行った。

 「かげろう」については「左右に視点を変えて見ると、竹の線が揺らめいて本当にかげろうが立ち昇っているようなイリュージョンが起きる」と説明。「自然から受けた感動を表現するために、技を生み出してしまうアーティストだった」と語った。

 期間中は入場無料。午前9時~午後5時。3、10、18日は休館。(問)市文化振興課0287.23.3129。

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