アロウ・マクラーレンが体制強化へ。インディ500ウイナーのトニー・カナーンがスペシャルアドバイザーとして加入

 6月29日、NTTインディカー・シリーズに参戦するアロウ・マクラーレンは、2004年インディカー・シリーズチャンピオンで2013年の『インディ500』優勝者であるトニー・カナーンがスペシャルアドバイザーとしてチームに加入すると発表した。

 ブラジル出身で現在48歳のカナーンは、1998年にCARTへフル参戦を開始し、以降はアメリカンオープンホイールのトップカテゴリーで活躍を続けてきたドライバー。インディカー・シリーズでは17回の勝利と15回のポールポジションを獲得しており、レースに対する情熱と忍耐力、そしてファンに対する熱意と感謝から、20年以上にわたってファンとスポンサーの人気者となっている。

 カナーンは、2023年のインディ500を最後にインディカーを引退。ラストレースはアロウ・マクラーレンから参戦し、3列目9番手グリッドからスタート。200周を走り切り、16位でゴールした。

2023年インディ500 アロウ・マクラーレンからスポット参戦したトニー・カナーン

 インディ500から1カ月、引退したカナーンは、アロウ・マクラーレンにスペシャルアドバイザーとしての加入を発表。シリーズを長年戦ってきた豊富な経験をチームにもたらすことでトラック内外におけるチームの活動をサポートすることになった。

 この新たに定められた役割においてカナーンは、以降のレースやテストに同行してドライバーのアドバイザーとしての役割を果たすと同時に、チームの商業提携や事業開発、マクラーレン・レーシングのヘリテージ・プログラムにも協力することになるという。

「私は以前から、レースやNTTインディカー・シリーズを離れるつもりはないと言ってきた。なので、このスペシャルアドバイザーという役割でアロウ・マクラーレンに加わることができ、とても興奮している」とカナーンは語った。

「このチームは、一生懸命働くのはもちろん、一緒にいてとても楽しいんだ。これはレースの本質であり、私がこのチームに参加する大きな理由でもある」

「ザク・ブラウン(マクラーレン・レーシングのCEO)とギャビン・ウォード(アロー・マクラーレンのレーシングディレクター)は、このチームがどこに向かっているのか、そして我々が何を達成できるのかについて素晴らしいビジョンを持っている。そこに到達するためにチームを助け、アロウ・マクラーレンとインディカー・シリーズ全体をさらに良くしていくことを私はとても楽しみにしているよ」

アロウ・マクラーレンのスペシャルアドバイザーとなったトニー・カナーン

 カナーンの加入に対してブラウンは、「トニーがインディカーでの輝かしいキャリアを経て、より正式な立場でアロウ・マクラーレンの一員として我々のファミリーに加わってくれてとても嬉しいよ」とコメントしている。

「トニーは勝ち方を知っているドライバーだ。彼が私たちのチームに来てドライバーを指導してくれるということは、私たちをシリーズでさらに強力なチームへと成長させてくれるだろう」

 またウォードは、「彼をアドバイザーとしてチームに迎えることができたということは、アロウ・マクラーレンにとってひとつの勝利のようなものだ」と語る。

「彼はチャンピオン経験のあるドライバーとして、コース上でのパフォーマンスと献身的なパートナーシップの確保の両方を信じられないほどうまくこなしている。それは、チャンピオンシップを獲得するために楽しみながらレースをするということだ」

「トニーだけが持つ技術や知識は、チームがレースに臨む方法と、パートナーシップを最大限に活用する方法とを結びつけるのに役立つだろう」

2023インディカー第9戦ミド・オハイオ チームに帯同するトニー・カナーンとドライバーのパト・オワード

© 株式会社三栄