「消化するのが難しい時間」苦しんだ今シーズンを振り返ったイニエスタ、構想外で気づいた“サッカーへの想い”、モチベーションに変え退団を決意「ここに残ったらそれは難しい」

[写真:©︎CWS Brains, LTD.]

ヴィッセル神戸でのラストマッチを終えた元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタが、最後の記者会見に臨んだ。

1日、5年間にわたりプレーしてきたイニエスタが、神戸でのラストマッチを迎えた。ホームのノエビアスタジアム神戸に北海道コンサドーレ札幌を迎えた一戦。イニエスタは、今シーズンの明治安田生命J1リーグで初となる先発出場を果たした。

今シーズンはチームのフットボールスタイルが変化し、イニエスタが生きないサッカーに。ケガなども含めて出遅れると、ほとんど出番がないまま退団を決断。構想外となった状況から新天地への挑戦を決めた。

ラストマッチには満員御礼となるスタンドを埋め尽くす観客が。イニエスタは全盛期の輝きを見せられず、あまりボールも回ってこない中で後半途中までプレー。57分に佐々木大樹と交代し、多くの拍手が送られた。

退団セレモニーでは、ファンからの歌のプレゼントに涙し、家族とも別れを惜しんでいる姿が見られた中、試合後に記者会見に臨んだ。

今シーズンはリーグ戦4試合目の出場、初先発となった中、自身のパフォーマンスについては「もちろんもっとできたと思う。ただ、人生においてもスポーツにおいてもスーパーヒーローはいない」とコメント。「現実として自分は4、5カ月は継続的にチームに絡んでいない中で、今日は最大限の貢献ができるように、自分の全てを出し尽くした」と語り、なかなかパフォーマンスを出せなかったが、やれることを出し尽くしたと語った。

結果は引き分け。それでもイニエスタは「結果は引き分けに終わったが、自分としては今日何をした、どうだったということよりも、ここまでやってきたことに対する誇りと達成感で今日を終えている」と語り、多くのファン・サポーターの前で5年間見せてきたものを誇りに感じられる試合だったとした。

気になる去就については「まず新天地に関していうと、まだわからない」と語るにとどめ、「もう少し待たなければいけない状況。次がどこになるのかはわからない」と、まだ決定していないことを強調した。

今シーズンは難しい時間を過ごしたイニエスタ。「この数カ月は確かに難しく、自分でも消化するのが難しい時間だった。その中でもしっかり日々モチベーションを見出していかなければいけなかった」とコメント。「それはスポーツへのリスペクト、チーム、チームメイトへのリスペクトをもって、トレーニングから最大のモチベーションでやると言うことが重要だと考えている」と、チームに対する思いから、しっかりと気持ちを保ってトレーニングに励んだとした。

一方で、キャリアにおいて初めての状況とも言える時期を過ごし「同時にこの状況というのは、次に向けてのモチベーションにも繋がった」と語ったイニエスタ。「日々の中でまだ自分ができる。選手として戦う準備ができている、チームに貢献する準備ができていると感じてきた」と自信はあったものの、「ただ、監督はそう考えていなかったという中で、自分はサッカーを続けるモチベーションにつながったと思う」と、構想外となったことで、気落ちするので半買う、まだサッカーをやりたい気持ちに気がつけたとした。

「だから新天地で、サッカーを続けていきたいと思っているし、新たに行くところで、自分のコンディションが良いのか、プレーできるのかはわからないが、ここに残ったらそれは難しいと感じて、新たな一歩を踏み出すことに決めた」と語ったイニエスタ。新天地でも再び輝く姿を見せてくれることを、誰もが願っているはずだ。

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