オーバード、新たな「夜明け」 坂東玉三郎さん舞台で魅了 富山中ホール開館、こけら落とし 

こけら落としで幻想的な舞台を披露し、観客を魅了した坂東玉三郎さん(中央)=富山市牛島町のオーバード・ホール中ホール

 富山市牛島町に整備されたオーバード・ホール中ホールは1日開館し、関係者ら約220人が「ちょうどいい大きさ」を目指した芸術文化の新拠点に期待を寄せた。オーバードの意味は「夜明けの音楽」。こけら落としは、人間国宝で歌舞伎俳優の坂東玉三郎さんと太鼓芸能集団「鼓童(こどう)」が日本神話の世界を舞踊劇で壮大に表現し、ホールの新たな「夜明け」に彩りを添えた。

 中ホールは富山駅北のオーバード・ホールの隣接地に建設された。初日はトランペット八重奏のファンファーレを合図に1階ロビーで記念式典が行われた。テープカット後に地元団体による演奏や合唱の華やかなステージが次々と繰り広げられた。

 藤井裕久市長は式辞で、大・中二つのホールの連携で提供できる演目の幅が広がるとし「芸術文化活動の充実に一層貢献できる」と強調。開かれたホールが芸術文化の裾野の広がりや次世代人材の育成などにつながることを願った。

 市民文化事業団の髙木繁雄理事長があいさつし、新田八朗知事、金厚有豊市議会議長が祝辞を贈った。市政策参与で、デザインパートナーとして携わった隈研吾氏はビデオメッセージを寄せて祝福した。

 こけら落とし公演「アマテラス幻想」は、鼓童が2006年の結成25周年企画で玉三郎さんと共演した「アマテラス」を中ホールのために再構成した特別版。鼓童メンバーによる圧巻の和太鼓のパフォーマンスに合わせて希代の女形が気品あふれる所作と舞で魅せ、会場からため息が漏れた。

 友人と2人で鑑賞したパート奥澤由香理さん(50)=富山市=は「想像以上に舞台が近く、玉三郎さんのきらびやかさに圧倒された。芸術文化を楽しみに、また来たい」と話した。

 中ホールは地上4階、地下1階建てで、可動式の客席を備える。今年度は計17公演が予定されている。

開館記念式典を彩る演奏パフォーマンス

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