メクル第713号 子どもの安全対策 犯罪から身を守るには?

注意が必要な場所の例「子どもだけになりやすい状況」

 もうすぐ夏休み。子どもたちにとっては楽しみの多い季節ながら、事件事故(じけんじこ)のリスクが高まるシーズンでもあります。「市民防犯(ぼうはん)」の観点で子どもの命を守るための普及(ふきゅう)活動に取り組んでいる「うさぎママのパトロール教室」主宰(しゅさい)で安全インストラクターの武田信彦(たけだのぶひこ)さん(46)=東京都在住(ざいじゅう)=が長崎県教育委員会に招(まね)かれ、長崎市で子どもの安全対策(たいさく)について講義(こうぎ)しました。武田さんの話を基(もと)に防犯のポイントについて考えてみます。

◎ひとりの瞬間なくそう

 武田さんは市民防犯・子どもの安全の専門家(せんもんか)として全国で講演(こうえん)活動をし、警察庁(けいさつちょう)、文部科学省などに助言。テレビなどメディアでも情報(じょうほう)を発信しています。著書(ちょしょ)に「活(い)かそうコミュ力!中高生からの防犯」(ぺりかん社)などがあります。
 日本の防犯と海外の防犯では方法が異(こと)なるそうです。他国の中には「子どもは保護者(ほごしゃ)が守るべきで、ひとりにさせない」という考え方もあります。
 しかし、日本では小学1年ぐらいになると、子どもたちだけで登校させるなど、ひとりで出歩かせることが増(ふ)えます。近年は両親とも働いていて、家に子どもだけしかいない状況(じょうきょう)も多くなっています。
 武田さんによると、犯罪(はんざい)リスクが大きい場面の特徴(とくちょう)は「子どもが子どもだけになる『空白』が生まれる瞬間(しゅんかん)」です。それを避(さ)けるための最強の防犯対策は「大人の付(つ)き添(そ)い」です。次いで「地域(ちいき)の見守り・助け合い」。そして最後に、子ども自身が自分を守る力が大切になります。
 自分を守るためには防犯の心構(こころがま)えが必要です。
 「知らないおじさんに付いていってはいけません」とよくいわれますが、犯罪者は男性(だんせい)とは限(かぎ)らないし、若(わか)い人の場合もあります。知っている人かもしれません。だから、防犯とは「外で」「人から」「こわいこと、いやなことを」「されないように」「心や体を守ること」と考えるようにしましょう。
 防犯にはまず「ひとりにならないこと」が大事です。「ひとりになるのはどんなとき」かを想像(そうぞう)し、その場面を避けましょう。ひとりになったら「まわりをよく見る、よく聞く」を実行します。誰(だれ)かが近づいてきたら「さわられない、つかまれない」距離(きょり)をとり、いざという時には「にげる」「たすけてをつたえる」ようにしましょう。
 日本は子どもがひとりになりやすい状況がありますが、「子どもは地域で育てる、見守る」という考え方もあります。犯罪の被害(ひがい)にあったり、あいそうになったとき、こどもたちが助けを求められるように「子ども110番の家」のステッカーを貼(は)った商店なども地域の中にはあります。普段(ふだん)から、どんな所に危険(きけん)が潜(ひそ)んでいるのか、いざというときに逃(に)げ込(こ)める避難(ひなん)場所がどこにあるのかを確認(かくにん)しておくことが大切です。

子どもたちへ 身を守る方法

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