岸田首相、7月から全国行脚 「聞く力」で政権浮揚狙う

2021年8月、自民党総裁選出馬表明の記者会見で「岸田ノート」を掲げる岸田文雄氏=国会

 岸田文雄首相は7月から、地方で視察や対話集会を行う全国行脚に乗り出す。一般市民らと車座集会を重ね、課題に耳を傾けて政策に反映させる。内閣支持率が下落傾向にある中、2021年の自民党総裁選で掲げた「聞く力」を改めてアピールし、政権浮揚につなげたい考えだ。

 首相は通常国会閉幕に合わせた6月21日の記者会見で「今年の夏、政権発足の原点に立ち返って、全国津々浦々の現場におじゃまして声を聞くことに注力する」と表明。関係者によると、少子化対策や賃上げなど、政権の重要政策に対する国民の率直な意見を聞く対話を想定している。

 マイナンバーを巡るトラブルへの政府対応や、デジタル社会に向けたマイナ活用の意義を説明する内容も検討。政権幹部は「これまで訪れていない地域を回ってもらいたい」と構想する。

 21年の総裁選で首相は「聞く力」を自らの長所として強調。首相就任後は時間をかけて市民の声を聞く機会が限られてきたため「10月の政権発足から2年を前に、国民の意見を真摯に受け止める姿を改めて見てもらう」(周辺)狙いだ。

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