致命傷あと数センチ…教諭と猫を刺した18歳を少年院送致「自分の問題と向き合い始め、矯正教育の効果期待」

教員切り付け 家裁、元少年を少年院送致=戸田市

 2月に埼玉県戸田市で猫1匹を殺害し、3月には同市の中学校で男性教員をナイフで刺し殺害しようとしたとして、殺人未遂と動物愛護法違反容疑で家裁送致された元少年(18)について、さいたま家裁(加藤学裁判長)は3日までに、初等・中等(第1種)少年院送致とする保護処分を決めた。決定は6月30日付。

 決定理由で加藤裁判長は、殺人未遂事件について「他者の生命身体を顧みない身勝手かつ理不尽なもので、非常に悪質。あと数センチ深く刺していれば致命傷になり得た」と指摘。猫を刺殺した事件に関しても「殺した上、足や顎を胴体から切断した行為は残虐で足や顎を人目に付く場所に置いた」と説明し、「本件は世間の耳目を集め、社会に大きな衝撃を与えた」と述べた。

 その上で「殺人未遂は検察官に送致することも検討の対象となり得るが、一連の手続きの中で自己の問題性と向き合い始めていて、矯正教育の効果が期待できることを考えると保護処分に付すべき」と指摘。少年院に3年収容し、矯正教育も2年6カ月程度が必要と見込まれるとした。

 決定などによると、元少年は2月12~13日午前7時半ごろ、戸田市の道路付近で猫1匹の頸部(けいぶ)を刃物のような物で突き刺すなどし殺害。3月1日午後0時20分ごろ、戸田市立美笹中学校で試験中だった教室に侵入し、男性教員=当時(60)=の胸や腹などをナイフ(刃渡り約13.3センチ)で突き刺し、加療約6カ月を要する重傷を負わせた。

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