「芸能の神」信仰の神社、CFで修復工事 1600万円寄付集まる 大津

クラウドファンディングの資金を使って屋根を修復するなどした関蝉丸神社下社の唐門(大津市逢坂1丁目)

 芸能の神として信仰を集める関蝉丸神社下社(大津市逢坂1丁目)で、クラウドファンディング(CF)で資金を集めた修復工事が完了し、このほど竣工式が開かれた。

 同神社は822(弘仁13)年の創建とされ、平安期の歌人で琵琶法師の蝉丸をまつる。地元住民や芸能関係者に親しまれてきたが、境内に住み代々神社を守ってきた宮司の後継ぎが途絶え、5年ほど管理者がおらず、屋根の雨漏りや柱の腐食が進行していた。

 2022年の鎮座1200年を見据えた改修を目指して、まちづくりや芸能に関わる市民らが17年に「復興支援奉賛会」を結成。支援を募るためCFを実施し、目標の3千万円には届かなかったものの約1600万円の寄付を集め、できる範囲の修復を行った。

 修理したのは、江戸後期に建てられた本殿や回廊、唐門で、今年2月に工事を開始。本殿のかやぶき屋根に保護用の銅板をかぶせ、唐門や回廊の屋根などを既存の木材を使いながら修復した。工事には延べ約200人が携わったという。

 竣工式には、三井寺(園城寺)の福家俊彦長吏や、工事と神社の関係者ら約20人が参列した。奉賛会の川戸良幸会長(68)は「支援してくれた人たちに深く感謝している。地元の宝として大切に子どもたちに引き継がれてほしい」と喜び、橋本匡弘宮司(48)は「清めの雨をいただき、無事に式を行えた。今後はまだ終わっていない本殿の修復に取り組みたい」と話した。

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