TIDAL、ライバル各社に続き月額料金を値上げ

AppleやAmazonなど競合他社の同様の動きに続き、Block傘下の音楽ストリーミング・サービスTIDALが、米国やその他の市場での値上げについてユーザーにメッセージを送り始めた。2023年8月1日より、米国ではベーシックなHiFi(高音質)サブスクリプションの料金が1ドル値上げされ10.99ドル(約1,600円)に、ファミリー・プランの利用者は月額料金が2ドル値上げされ16.99ドル(約2,500円)になる。

同社は値上げについて理由を提示しておらず、TIDAL HiFiプラス(ドルビー・アトモス・ミュージックやソニー360オーディオ、MQA(マスター・クオリティ・オーセンティケイテッド)楽曲などの没入型サウンド・オプションを含む19.99ドル、約2,900円のプラン)に変更があるかは不明だ。TIDALにはSpotifyのような無料プランもあり、学生向けの割引価格(50%オフ)と軍関係者向けの割引価格(40%オフ)は変更されないようだ。

TIDALの広報担当者は、値上げの範囲に関する米ビルボードの質問に回答しなかった。同社によると、現在60か国以上でサービスが利用可能で、価格は地域によって異なる。今のところ、公式には全面的ではないにせよ、広範囲にわたって値上げが行われているようだ。

Reddit(レディット)のTIDALに特化したフォーラムでは、ドイツ、スペイン、オランダ、ハンガリー、メキシコ、アルゼンチンのユーザーが新しい価格通知を受け取ったと書き込んでいる。

アメリカレコード協会(RIAA)によると、2022年の米国のサブスク収入は、2021年の22.2%から7.2%の伸びへと落ち込んだ。サブスクは現在、米国の録音された音楽収入の58%を占めており、全体の収入の伸びは前年の23.2%から6.1%に鈍化している。しかし、Apple MusicとAmazon Music、そしてDeezer(ディーザー)が過去12か月間に行った値上げによって、今年の収益合計は押し上げられるはずだ。

業界トップのSpotifyは2021年に米国でファミリー・プランを値上げしたが、2011年に米国でサービスを開始して以来、個人プランは9.99ドル(約1,400円)に据え置いてきた。創業者兼CEOのダニエル・エクが4月の業績発表会で、レーベルとの交渉の結果を待って最大の市場で”値上げする用意がある”と示唆したことから、この状況はまもなく変わるとみられている。Spotifyはまた、今年後半にHiFiサブスク・プランを開始する予定だと伝えられており、これもより多くの収益をもたらすだろう。

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