「看過しがたい欠落がある」 産廃最終処分場の設置許可取り消し命じる 広島地裁が県に 原告住民は「未来の世代の命を、環境を守るために」

三原市にある産業廃棄物の最終処分場について、周辺の住民が設置許可の取り消しを求めている裁判で、広島地裁は、県に許可の取り消しを命じる判決を言い渡しました。

この裁判は、三原市と竹原市の住民あわせて12人が、「有害物質による水質汚染を想定した環境影響調査が不十分だ」などとして、県に設置許可の取り消しを求めていたものです。

三原市本郷地区にある「本郷処分場」は、安定型と呼ばれる産業廃棄物の最終処分場で、東京に本社がある「ジェイ・エー・ビー協同組合」からの申請を3年前に県が認可し、建設されました。

去年9月からすでに1万4千トン余りの廃棄物が搬入されています。

7月4日、広島地裁の吉岡茂之裁判長は、「JABによる地下水や水質の調査は環境省の調査指針などに則っていない」と指摘しました。そのため、設置許可の判断の過程には「看過しがたい欠落がある」として県に対して設置許可の取り消しを命じました。

山内静代原告団共同代表
「子どもたちの未来の世代の命を、環境を守るために私たちは一つの足がかり、突破口となるよう願ってやみません」

判決を受け湯崎知事は「厳しい判決と受け止めている。今後の方針については判決内容を詳細に検討した上で対応したい」とコメントを出しました。

このあと住民らは県庁を訪れ要望書を提出しました。要望書では県に対し、▽がれき類や金属くずなど安定5品目以外の物が投棄されていないかどうか立ち入り検査を行うことや、▽排水や地下水が安全かどうか水質検査を行うことなどを求めています。そして、判決を受けて控訴しないよう要望しました。

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