佐世保市のクルーズ船誘致 選ばれる港づくり急務 ライトアップやにぎわい拠点整備 本格再開見据え

浦頭地区に、にぎわいの拠点として整備する広場のイメージ。「佐世保らしさ」などがテーマ(佐世保市提供)

 長崎県佐世保市は、クルーズ船の誘致、受け入れ態勢を強化している。新型コロナウイルス禍で停滞していた外国クルーズの本格再開が迫り、他港との差別化で船会社に選ばれる港づくりが急務。市は港のイルミネーションやにぎわいの拠点づくりを進めていく。
 佐世保市は2014年から外国クルーズの受け入れを開始。18年には過去最多の108隻が寄港した。三浦と浦頭両地区はいずれも18万トン級の船が接岸できる体制を整えている。
 18万トン級のクルーズの乗員乗客は8千人程度が見込まれ、市内への経済効果が大きい。地域間競争が激しくなる中、プラスアルファの要素を提案して「船会社から選ばれる港になることが必要」と市港湾部。新型コロナ禍前の寄港数の約9割を占めた中国からのクルーズは本格再開していないが、市は「できるだけ早くコロナ禍前の水準に戻したい」としている。
 港を核にしたまちづくりの一つが、官民で取り組むライトアップ事業。夜間の交流人口を増やすことを狙って、市は昨年度から三浦地区でスポット的に実施しており、クルーズ船の出港時間が約1~2時間遅くなっているという。本年度は範囲を拡大し、同地区に近いJR佐世保駅や市中心部のアーケードにかけて装飾。観光客に周遊を促して、消費の拡大につなげる。

夜間の交流人口拡大につなげるため施された装飾=佐世保市新港町

 岸壁やターミナルビルを20年に整備した浦頭地区では、港周辺の魅力をさらに高めるための事業を計画。同地区が市中心部や観光地から離れているのを補うため、船から下りてすぐに「佐世保らしさ」「日本らしさ」を感じられる広場を整備する。広場には江迎町の千灯籠や旧佐世保無線電信所(針尾無線塔)を想起させる照明などを設置。寄港に合わせてイベントやキッチンカーの出店を計画し「美しい、楽しい、おいしい」を兼ね備えたにぎわい拠点づくりで他港との差別化を目指す。
 事業費は計1億4千万円。事業は観光庁の補助事業に選ばれ、国の補助金7千万円を充てる。

© 株式会社長崎新聞社