遺族賠償へ3億8000万円 那須雪崩事故、栃木県が補正予算案

栃木県庁

 栃木県那須町で2017年3月、登山講習会中に大田原高の生徒7人と教諭1人が死亡した雪崩事故を巡る民事訴訟の判決を受け、県は4日、遺族への損害賠償に要する経費として3億8千万円を2023年度一般会計補正予算案に計上すると発表した。5日開会の県議会臨時会議に提出する。

 内訳は、損害賠償金が約2億9千万円、判決に基づく遅延損害金が約9千万円。県経営管理部によると、県高校体育連盟(県高体連)が支払うべき賠償金もいったん県が全額支払い、今後両者で負担割合を協議する。財源はすべて繰越金で賄う。補正後の一般会計予算額は9893億5100万円となった。

 県と県高体連は6月30日、県などへの賠償を命じた宇都宮地裁判決について控訴しない方針を表明。遺族側も控訴しない考えで、地裁判決が確定する見通しとなっている。

 県などは訴訟で、死亡した引率教諭は自身の生命を守る判断ができたはずとして過失相殺の適用を主張したが、判決で退けられた。一方で講習会の責任者だった教諭ら3人に「重い過失があった」とする遺族側の主張への言及もなかった。

 阿久澤真理(あくさわしんり)県教育長は30日の記者会見で「われわれの主張はおおむね認められた」との見解を示していた。

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