「出産楽しみにしていたのに」交際相手殺害の男に懲役18年判決、京都地裁

京都地裁

 京都府井手町で2016年に交際相手だった女性を殺害したとして、殺人罪に問われた無職末海征河(すえうみせいが)被告(26)の裁判員裁判の判決公判が5日、京都地裁であった。増田啓祐裁判長は「落ち度のない被害者を死亡させた結果は重大で、反省する様子は見られない」として求刑通り懲役18年を言い渡した。

 判決によると、16年10月22日午前1時半~同2時20分ごろ、井手町内に止めた車の中で、助手席にいた専門学校生の女性=当時(19)=の首を両手で絞め、窒息死させた。

 末海被告は22年2月、捜査段階の調べに対し殺害を認め、奈良市の若草山に遺体を捨てたと供述。京都府警が山中を捜索したところ遺骨の一部が見つかった。

 一方、公判では「殺していません」と起訴内容を否認し、女性は自殺したとして無罪を主張していた。死体遺棄罪は公訴時効が成立している。

 判決理由で増田裁判長は、遺体を捨てるなどした行為は「殺害していなければ通常取らない行動」とし、捜査段階での自白は具体的かつ自然で信用できると認定。その上で末海被告は自らの子を妊娠していた女性との関係に悩む中、うそをついたことを激しく詰問され、衝動的に殺害を決意したと指摘した。

 さらに女性は出産を楽しみにするなどし、自殺する理由や兆候はなかったと言及。犯行後は女性の携帯電話を操作したり、捜すふりをしたりして生きているように偽装工作したとした。「遺族らを欺き続け、5年余りの間、平然と生活していた」と厳しく非難した。

 判決を受け、遺族は「どうして娘が殺害されなければならないのか。私たち家族にとって怒りや疑問が尽きることはありません」とのコメントを出した。

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