瓶はもともと割れていた 偽ワクチン運搬で損害賠償1100万円詐取の男、懲役5年6月判決

大津地裁

 偽の医療用ワクチンの運搬を依頼し、瓶が割れたように装い、損害賠償金などの名目で現金計1100万円以上をだまし取ったとして、詐欺罪などに問われた滋賀県栗東市の無職の男(47)の判決公判が5日、大津地裁であった。谷口真紀裁判官は懲役5年6月(求刑同7年)を言い渡した。

 判決によると、男は医療用ワクチンの運送業務を行っていると装ってドライバーを募集。2021年12月から22年10月、運送中にワクチン入りの瓶を損壊させた場合に備えた損害賠償保証金名目で、ドライバーに応募した50代男性ら4人から計350万円の現金をだまし取った。また、同年5~7月、同様に応募してきた60代男性ら5人に、ワクチンの瓶が入ったとするクーラーボックスの運送を依頼。瓶はもともと割れていたが、損壊した瓶を見せて損害賠償金として4人から計810万円をだまし取った。1人は警察に相談したため、未遂に終わった。

 判決理由で谷口裁判官は「架空の事業者名での募集広告や業務委託契約書を準備するなど周到に計画され、被害者の期待や信頼に付け込む狡猾(こうかつ)で常習的な犯行」と非難した。

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