注意!見知らぬ代引き便 通販サイト介し、記者の元にも… 長崎で相談増「受け取り拒否を」

 インターネット通販の「商品代金引換サービス」を悪用した「代引き配達」を巡るトラブルが県内で増えている。長崎県消費生活センターに寄せられた相談件数は昨年度4件だったが、本年度は4~6月の3カ月だけで8件に増加。同センターは「身に覚えのない商品は受け取らないで」と注意を呼びかけている。
 「通販サイトから商品が届いています。代引き商品のため、6250円を準備してください」。先月24日午前、大手宅配業者の配送員から記者のスマートフォンに電話がかかってきた。
 書店の廃業が相次いでいるため、本や雑誌のほか、市価より割安な飲料水や薬剤品をインターネット通販大手サイトで購入している。しかし、注文した記憶はなく、通常はクレジットカード決済。「なぜ代引き?」と首をかしげつつ、「(南島原市の)長崎新聞南島原支局に届けてほしい」と伝えたら、配送員が「いえいえ(送り先は)佐世保市江迎町の江迎支局です」と言葉を遮った。
 その瞬間「詐欺」を疑った。江迎支局に赴任していたのは2007年4月から11年3月までの4年間。江迎支局はその後、松浦支局に統合され現存しない。「現在の住所は南島原支局。江迎支局ではない」と告げると、配送員は「最近、代引き配達の詐欺が多い。段ボールは通販サイトに返品する」と電話を切った。
 その後も2回、同様の電話を受けた。電話番号は江迎支局当時と同じだが、十数年前の住所に送り付ける手口に驚き、個人情報が流出しているかもしれないと実感。家族は「高額商品だったら確認するが、数千円単位なら立て替えてしまうかも」と苦笑した。
 通販サイトなどを介した「代引き配達」のトラブルは今に始まった問題ではない。数年前から相次ぎ、注意喚起や被害報告がインターネット上で確認できる。
 国民生活センター(東京)の公開資料では、代引き配達に関する相談は2017年度以降急増。同年度が2127件、20~22年度は年4千件台で推移している。今回のケースが第三者の嫌がらせなのか、在庫をさばくなど悪質な商売目的なのか、実態ははっきりしない。
 県消費生活センターの相談員は「身に覚えのない商品なら受け取りを拒否して、近くの消費者センターなど関係機関に相談してほしい」としている。消費者ホットライン「188」(局番なし)。

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