長崎・高島にブリの人工種苗センター 長崎大が整備、今秋にも稼働 一大生産・販売拠点プロジェクトで

長崎市高島町にブリの人工種苗センターを整備する計画などを明らかにした「ながさきBLUEエコノミー」総会=同市元船町、サンプリエール

 長崎大は5日、長崎県長崎市が所有する同市高島町の「旧長崎市水産センター高島事業所」にブリの人工種苗センターを整備すると明らかにした。同大などは県内に養殖ブリの一大生産・販売拠点をつくる産学官連携プロジェクト「ながさきBLUEエコノミー」を進めている。付加価値が高く安全安心なブリの生産には人工種苗が成功の鍵を握るとされている。
 プロジェクトでは人工種苗を使って環境に配慮しながら、きれいな海域で育てる完全養殖の「JAPAN鰤(ぶり)」を生産。国内だけでなく、2032年には海外での販売を目指す。プロジェクトリーダーで同大海洋未来イノベーション機構長の征矢野(そやの)清氏によると、ブリの種苗は天然が85~90%を占めており、自前の人工種苗センター整備が急務だった。同センターで卵をふ化させ、水槽で稚魚まで育てる。
 高島事業所は21年3月に廃止され、市は活用法を模索していた。同大は早ければ8月ごろから改修工事を始め、10月半ばから稼働させたい意向。征矢野氏は「高島は離島だが、大学から近く、既存施設を改修することで新たに整備する場合に比べるとコストは1割程度。伊王島がリゾートアイランドだとしたら、高島は種苗センターを核としたサイエンスアイランドになる可能性がある」と話した。
 同大は5日、同市内でながさきBLUEエコノミー総会を開催。会場とオンライン合わせて約140人が参加した。

© 株式会社長崎新聞社