トラックリミット違反の連発はコース特有の問題だとマクラーレン首脳が示唆「他でも起きる問題ではない」/F1第10戦

 先週日曜日のF1第9戦オーストリアGPでは、レース後にトラックリミット違反の適用によって茶番のように順位が改定されたが、マクラーレン・レーシングのCEOを務めるザク・ブラウンは、このようなことがふたたびF1で起きることはないだろうと考えている。

 オーストリアGPのレース中、1200回以上のトラックリミット違反がスチュワードによって記録された。レース後には、ペナルティを適切に科されていないマシンがあるとアストンマーティンが抗議し、最終的に規則に従ってペナルティが適用され、改訂版の順位表が夜遅くに発表された。

 ブラウンは、改定の規模の大きさと結果の公表の遅れは受け入れがたく、二度と起きてはいけないし、今後は起きなくなるだろうと語った。

「これを繰り返してはいけない。5時間後にあれほど大きな変更とペナルティが科されるようなレースはできない」とブラウンは月曜日に『Reuters』に語った。

「昨日起きたことはまったく理想的なことではない。明白なことだが、このことによる長期的な影響はない。なぜなら二度と繰り返すことはないと考えているからだ」

 ブラウンは、オーストリアのトラックリミットに対するドライバーたちの極端な弱さは、コース特有の問題だと示唆した。

「これまでにこのようなことは見たことがないので、他のコースでも起きる問題ではないと思う」

2023年F1第10戦オーストリアGP オスカー・ピアストリ(マクラーレン)

 レース後遅くにまとめられた報告書のなかで、スチュワードはサーキットに対し、将来のイベントに向けてターン9と10の出口にグラベルトラップを設置するよう、改めて勧告した。昨年のレース後の時点ですでにレッドブルリンクではトラックリミットが物議を醸していた。FIAのレースディレクターを務めるニールス・ヴィティヒはサーキットのオーナー、すなわちレッドブルの子会社に対し、ドライバーがワイドになるのを阻止するために、ターン9とターン10に小さなグラベルエリアを追加する提案をレース後に書面で行っていたのだ。

 だがその要求は聞き入れられなかった。レッドブルリンクは、アスファルトのみのランオフエリアを求めるMotoGPの安全基準にも従う意向があったようだ。しかしFIAは、指定した特定のコーナーにグラベルトラップを設置する要求に耳を傾けるよう、サーキットに対し圧力を強める可能性が高い。

「マシンが飛び出した際の抑止力として、グラベルなどが必要だと思う」とレッドブルF1のチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは日曜日のレース後に語った。

「問題なのは、ドライバーたちがコクピットから白線を見るのが非常に難しいということだ。そのため純粋に感覚だけでドライブすることになる」

「コースがリミットに引き寄せてしまう。おそらく来年に向けて検討する必要がある。ドライバーがコースのそうした場所へ引き寄せられるのを阻むものをさらに追加しなければならない」

「行われている議論は常にMotoGPに関するものだが、F1にとっても柔軟で役立つコースにする必要がある」

2023年F1第10戦オーストリアGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)

© 株式会社三栄