静岡・川勝知事 給与・ボーナス未返上も…「県民と約束していない」 専門家は「給与の返上を提案したことが問題」と指摘

いわゆる「コシヒカリ発言」をめぐり、川勝知事が給与やボーナスを返上していなかった問題で、6日、知事は取材に対し「約束はしていない」と話しました。専門家は「給与の返上を提案したことが問題」と指摘しています。

なぜ給与やボーナスを返上しなかったのか…6日、私たちが川勝知事に話を聞くと…

(記者)

Q:改めて給与を返上する考えはありますか?

(川勝知事)

「返上は私の意思なんですが、令和3年、知事選、参議院の補選、衆議院選挙と激しい選挙があって、そのあと議会が非常に私に対して厳しくなった、その過程でいわゆる給料の返上は相手にされなかった」

あらためて返上する意向がないことを明らかにしました。

問題の発端となったのは、2021年、参院補選の応援演説で発した いわゆる「コシヒカリ発言」

(川勝知事)

「あちら(御殿場市)はコシヒカリしかない、だから飯だけ食って、それで農業だと思っている」

この発言をめぐり県議会で、知事に対する「辞職勧告決議」が可決されたことを受け、川勝知事は、その年の12月の給与やボーナス、約440万円を返上する意向を示していました。

(川勝知事)

「年末の手当ボーナスとか12月の公給は、全額県民の皆さまにおかえしする、返上する」

しかし、知事は返上に必要な条例案の提出を見送り、7月3日に公開された“去年の所得”で、給与やボーナスを返上していなかったことが明らかになったのです。

4期目の当選を果たした2021年の知事選で、こう誓っていた川勝知事。

(川勝知事)

「私は約束を必ず守ります、筋を通します」

県民に“約束を守る”と訴えていましたが、今回、自らが口にした「約束」を守っていなかったことが表面化したかたちに…しかし、私たちの取材に対し川勝知事は…

(記者)

Q:県民との約束を守れなかったことについては?

(川勝知事)

「約束をしていません」

(記者)

Q:約束はされていない?お金を返す約束はしていない?

(川勝知事)

「これは提案したが、言ってみれば相手にされなかったということ」「議会に提案しようとした私の意思があるが、決めたわけではない、最後まで思案中」「令和4年正月に、常時公人として政務活動は一切しないという原則でやるという、そこで一つの区切りはついた、要するに議会の辞職勧告決議を最も重く受け止めて、いま行動しているということ」

「県民と約束はしていない」と話しました。

元県職員で静岡産業大学の小泉祐一郎教授は「辞職を勧告した議会に返上を提案したことが問題だ」と話します。

(静岡産業大学 小泉祐一郎 教授)

「議会からは辞職を求められている、それに対して給与の返上でよしにしてくださいと言われても、議会としてはそうはいかない、返上ということ自体が熟慮がかけていた」「私は返上と申し上げたが、法的には条例の改正が必要で、12月議会で通る見通しがないので、発言は撤回しますと12月中に言わないと」

今後、給与やボーナスを返上する可能性については…

(静岡産業大学 小泉祐一郎 教授)

「議会が返上を可能にする議案を出してもいいですよ、となると議会としても手打ちをするかたちになる、川勝知事としては政治的に悪くない話なので、議案を出していくことは一つの選択肢としてある」

川勝知事は、県民が納得できる説明をすることができるのでしょうか。

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