父の遺志を継いだメロン「ことしは過去最高の出来」 横須賀の新たな名産としてブランド化

メロンを収穫する井上徹也さん

 横須賀の新たな名産としてブランド化された「よこすか潮風メロン」の出荷が神奈川県横須賀市林の井上農園で、最盛期を迎えている。高い糖度と濃厚な味、豊かな香りが特徴で、市はふるさと納税の返礼品に採用し、知名度アップを後押ししている。栽培しているのは、メロン農家の父の遺志を継いで農業を始め、4年目を迎えた井上徹也さん(27)。「父の思いがこもったメロンを多くの人に知ってもらいたい」と話している。

 井上さんの就職先が決まった大学4年の夏、がんで父・勝好さんの命が長くないことが分かった。「自分が後を継がないと、父が大切にしてきたメロンがなくなってしまう」。内定を辞退して、大学を中退。抗がん剤治療で体力が落ちていた父に付きっきりで農業を教わった。「自分なりのやり方で育てればいい」とうれしそうにアドバイスする表情が印象的だった。

 4年目を迎えた今年、父の教えだった「自分なりのやり方」を模索。父のメロン「くるめメロン」をよこすか潮風メロンと名付け、ブランド化することにした。井上さんは「ことしは過去最高の出来。横須賀の特産として、多くの人に知ってもらいたい」と話している。

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