奥深い墨の美堪能 石川の書展、金沢21世紀美術館で開幕

作品解説を聞きながら秀作を堪能する来場者=金沢21世紀美術館

  ●会派、社中超え 意欲作713点

 石川の書展(石川県書美術連盟、北國新聞社主催)は8日、金沢21世紀美術館で開幕した。地元書壇の振興を掲げた恒例の公募展には、重鎮から若手まで会派や社中の枠を超えて寄せた意欲作713点が集い、会場は高みを目指す書家の熱気に包まれた。連盟役員による作品解説も始まり、来場者は奥深い墨の美を堪能した。

 会員の部の259点(遺作2点含む)と、審査を通った一般の部の454点が展示された。会員の部で大賞に輝いた四禮華舟(しれいかしゅう)さん(42)=津幡町=の「白居易詩二首(はくきょいしにしゅ)」や、準大賞となった澤辺真弓さん(54)=白山市=の「王文治詩(おうぶんちし)」と、東谷浩子さん(63)=加賀市=の「このあした」など、錬磨した技が光る秀作が来場者の目をひいた。

  ●県書美術連盟役員が作品解説

 初日の作品解説は、県書美術連盟常任理事の村上秀康さんが務め、存在感を示す工夫について解説した。

 村上さんは漢字14文字からなる自作を例に、「強くする線を見極めて見せ場をつくることが大事だ」と強調した。四禮さんの作品については、力強い潤筆と繊細な渇筆のバランスがよく、互いに引き立て合っていると指摘した。

 友人と訪れた金沢市の会社員平井高行さん(39)は「味わい深い作品が多い」と秀作に見入り、金沢市の加藤美代子さん(89)は「漢字やかな、篆刻(てんこく)まで幅広くあって見応えがある」と話した。

 開場式では、県書美術連盟会長である飛田秀一北國新聞社会長のメッセージを同連盟理事長の砂塚隆広北國新聞社社長が読み上げた。酒井雅洋県県民文化スポーツ部長、新保博之金沢市副市長がそれぞれ馳浩知事、村山卓市長の祝辞を代読した。

 展示は14日まで。連盟役員による作品解説は各日午後2時から行われ、9日は東翠香さん(かな、常任理事)、10日は阿部豊寿さん(漢字、理事)が担当する。入場料は500円で、高校生以下は無料。

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