日本人レスラー、アフリカ移住して奮戦 セネガルのレスリング「ラーム」に魅せられ、普及活動に取り組む

レスリングの全日本選手権に出場した経験もある日本人レスラー、魚住彰吾さんは現在、アフリカ・セネガルの都市ティエスに移住し、現地でユースオリンピックのナショナルチーム作りなどに貢献している。移住に踏み切ったのは、セネガルのレスリング「ラーム」を学ぶことだった。

「練習をするたび自分自身が少しずつ強くなっているということを感じるので、すごくそういった喜びを感じていますし、成長も感じています」と魚住さんは話す。

ラームはもともと戦いの儀式だったとされる。のちに収穫期の娯楽行事となり、今ではセネガルの国技になっている。格闘技とアクロバットが融合したこの競技は、相手の背中を地面につけたら勝利というルールだ。

2017年にセネガルを旅行していた時、魚住さんは運命の競技に出会った。そして、5年後に移住し、現在はレスラーのコミュニティで暮らしているという。「2年間のボランティア活動で、1人の親友と出会った。彼の名前はシェイク・バディアン。彼とは一緒に未来や将来について話し合いました。子供たちにどういう風に教えたらいいか、この国でレスリングが普及するかなど」と説明した。

セネガルで練習に励む魚住彰吾さん(ロイター)

シェイク・バディアンさんは「十分な給料ももらえないのに祖国を離れ、ぎりぎりの収入しかないことを知りながら、われわれの国技を発展させようという。その時、私は彼に何があっても助けると伝えた」と、“親友”の思いに応える覚悟を見せた。

魚住さんは今、2026年のユースオリンピックに向けたナショナルチーム作りに取り組む。「私がセネガルが好きな理由は、セネガルの人の心がとても温かいことです。セネガルには日本と同じように、日本ではおもてなしといいますが、セネガルには『テランガ』という文化があります。セネガルに来た時にそのテランガというおもてなしに私は魅了されました。セネガルの人たちは家族一緒に暮らしてますが、みんなで支えあって暮らしています」

(ロイター/よろず~ニュース編集部)

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