「2024年もWECに出たい」アストンマーティンのLMGT3参戦権決定を待つハート・オブ・レーシング

 ザ・ハート・オブ・レーシングのチーム代表を務めるイアン・ジェームスは、FIA国際自動車連盟とACOフランス西部自動車クラブがLMGT3クラスにどのメーカーを参加させるか決定するのを待っていると語った。

 今年初めにノースウエストAMRのLMGTEアマエントリーを引き継いだアメリカン・チームは、日本籍のDステーション・レーシングと同様に、WECのGTEカテゴリーがGT3ベースの新クラスに移行する2024年シーズンもアストンマーティン・チームとして世界選手権に残る意欲を示している。

 Sportscar365の取材に応じたジェームスは、アストンマーティンのユーザーだったTFスポーツがシボレー・コルベットZ06 GT3.Rに乗り換えることを発表したからといって、その見通しが変わるとは限らないと述べた。

「来年、メーカーと一緒に何ができるかという点では、TFスポーツの状況が我々に影響を与えるとは思わない。どのメーカーがエントリーするかはWECとACO、そしてFIA次第だ」と彼は語った。

「しかし、私はそこにアストンマーティンがいることを期待している。我々は間違いなく来シーズンもWECに出たいんだ」

 仮にアストンマーティンがLMGT3のグリッドに着けることが決まり、ハート・オブ・レーシングから1台または2台がエントリーできることになった場合、ジェームスは、今年のGTEプログラムを支えたプロドライブとの緊密な協力関係を継続する可能性が高いと語った。

「彼らとは密接に仕事をしているし、実際ここ3年間そうしてきた」と同氏。

「プロドライブからアメリカにやって来る人たちの間には多くの異動がある。私たちは本当に良い関係を築いている。それはこれからも続いていくだろう」

 チームがリソースを統合し、SROアメリカでの競争から離れWECとIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権に完全に集中する可能性があるかという質問に対し、ジェームスは評価中であるため、すべてがオープンであることを示した。

「SROグループとIMSAグループという点ではかなり異なるチームだが、我々は間違いなくそれを検討しなければならない」

「我々は女性ドライバーのプログラムを継続するつもりであり、それには間違いなくホームが必要だ。つまり100パーセント確信があるわけではないが、私たちはGT4での時間を楽しんできたし、それはおそらく継続されるだろう」

IMSAではGTDプロとGTDクラスに1台ずつ、計2台のアストンマーティン・バンテージGT3を走らせているハート・オブ・レーシングチーム

■WECモンツァの欠場は「以前から計画」

 ハート・オブ・レーシングチームは、7月7~9日にかけてイタリア北部のモンツァで開催されているWEC第5戦モンツァを欠場している。これはカナディアン・タイヤ・モータースポーツ・パーク(CTMP)でのIMSA第6戦モスポートと日程が重なるためだ。

 ジェームスはWEC欠場は以前から決まっていたことだと説明した。

「ポール・ダラ・ラナが(自身の引退によってシリーズから)撤退した際にノースウエストAMRのエントリーを救出したとき、我々はすでにIMSAの全日程に参加することを約束していた。それは我々の契約の一部であり、残念ながら(その影響により)モンツァでWECのプログラムを実行することはできない」

「それは当初の意図と計画の一部であり、合意事項のひとつだったんだ」

「実際にル・マンの前には数日間(モンツァで)テストを行った。ローダウンフォースのクルマに慣れるためにね。そこはとても楽しいし、我々はWECでの活動を本当に楽しんでいるので、その場に居ることができない既存のコミットメントに失望している」

ハート・オブ・レーシングチームのWEC第5戦モンツァの欠場は、同じ週末にIMSA第6戦モスポート戦があるため。契約上、北米シリーズを優先する必要があった。
LMGT3のグリッドを巡ってはDステーション・レーシングとの競合になる可能性も……

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