「正直勝ちたかった」町田の戦い方にも屈せず、2点差を追いついた東京V・城福浩監督「我々はサッカーをやり続ける」と強い思いでの同点劇

[写真:©︎CWS Brains, LTD.]

東京ヴェルディの城福浩監督が、FC町田ゼルビアとの“東京クラシック”を振り返った。

現在明治安田生命J2リーグで2位につける東京V。相手は勝ち点差「10」で首位に立つ町田。リニューアルされた国立競技場では初となるJ2の開催となった。

首位攻防戦ということに加え、試合を控える中でバスケス・バイエルンが町田へと移籍したこともあり、東京Vのサポーターはヒートアップ。しかし、試合は2点を先行される苦しい展開となる。

それでも後半には、鹿島アントラーズから育成型期限付き移籍で加入し、この日が1年ぶりの東京Vでのデビュー戦となった染野唯月が躍動。73分に宮原和也のアーリークロスからヘディングを決めると、83分にも染野がネットを揺らし、2-2の引き分けに終わった。

試合後の記者会見に臨んだ城福監督は「正直勝ちたかったです」とコメント。「2点を先に失ったことで難しくなりましたが、サッカーをやっていれば必ずチャンスはあると思っていました。相手はとにかく倒れて、もうやれないかと思うぐらい痛がっていたにもかかわらず、それでプレーをする。これを繰り返される中で選手たちはよく辛抱したと思います」と、町田の戦い方について苦言。それでも「我慢強く自分たちのサッカーをやって追いついたからこそ勝ちたかった。サッカーで勝ちたかったと思います。サポーターの力も大きく、非常に多くのサポーターが来てくれて彼らの力を感じていましたし、無念でしかないです。ただ、5連戦はあと2試合あるので、今日の気持ちをもってあと2試合をひたむきに戦いたいと思います」と、しっかりと追い付けたことを評価し、気持ちを切らさずに戦いたいとした。

ハーフタイムには「我々はサッカーをやり続けることで、相手は休みたい。あらゆる手段を使ってアクチュアルタイムを短くしたい。我々はとにかくボールを動かしてアクチュアルタイムを長くする。それを徹底しようと話しました」と、ボールを止めない戦いをしっかりとしていこうと語ったという。その結果が、後半の2ゴールに繋がった。

その2ゴールを奪うにあたり、試合の流れを変えたのは特別指定選手のMF新井悠太(東洋大学)。前節のV・ファーレン長崎戦に続いて66分に甲田英將と交代で入ると、左サイドで得意のドリブルを生かして何度となくゴールに迫った。

城福監督は「一緒にトレーニングしたのも本当に4、5日の選手だったので、彼を投入することはある意味で緊急事態ではあります。ただ、彼のドリブルとキックというのは信用しているものがあり、あのビハインドの状況では入れざるを得なかったというところです」と、大きな期待を寄せての緊急投入だったとした。

また、鹿島からの育成型期限付き移籍で加入しこの試合が再デビューとなった染野については「染野の得点力は承知していましたが、重要なのはサイドでそれだけ崩したということです。我々は工夫をしてローリングをして中央とサイドをバランスよく攻めながら、サイドを崩したときに彼が入っていくタイミングが合ったというところでした。もちろん彼の決定力は素晴らしかったですが、重要なのはチームとしてサイドを崩したところでした」と、サイド攻撃を繰り返せたことが、最終的にゴールに繋がったとした。

サポーターについても城福監督が言及。国立競技場に集まった多くのファン・サポーターは、ピッチ外の出来事を含めてチームを後押ししてくれたと感謝しつつ、勝利が欲しかったと改めて悔やんだ。

「もちろん味スタのホームでもっともっと多くのサポーターを集めたいと思っています。おそらく普段来られている方はそう多くないと思いますが、自分たちもこれだけサポーターの数がいるのかと驚くほどの数でした」

「それには国立開催という特別な場所もありますが、我々がいま置かれているチームの状況もあると思います。サポーターは今ヴェルディを支えないといけない。我々が今サッカー以外のところで、どういうことがなされているかをサポーターが共有したからこそ、今日はここまで足を運んでくれて我々の背中を押してくれたと思っています。それだけにどうしても勝ちたかったです」

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