中国人原爆犠牲者追悼式 不戦と日中友好へ決意新た 長崎・平和公園

追悼碑に献花する参列者=長崎市、旧浦上刑務支所・中国人原爆犠牲者追悼碑前

 戦時中に強制連行され、長崎原爆の犠牲となった中国人32人の追悼式が8日、長崎市松山町の平和公園内にある「旧浦上刑務支所・中国人原爆犠牲者追悼碑」の前であり、約30人が不戦の誓いと日中友好への決意を新たにした。
 追悼碑は本島等元長崎市長(故人)ら市民有志が2008年に建立。碑に刻まれた32人は、県内の炭鉱で働いていたが、当時の治安維持法違反などで浦上刑務支所(現在の平和公園内)に収容され、原爆の犠牲になったとされる。碑の維持管理委員会(内田雅敏弁護士ら共同代表4人)が、日中戦争の端緒となった盧溝橋事件が発生した7月7日前後に追悼式を毎年開いている。
 高校生を含む参列者が碑前に花を手向け、原爆投下時刻の午前11時2分に合わせて黙とうした。平野伸人共同代表は「現在の日中関係や世界の状況を見ると、この碑の意義はますます大切になっている。単なる追悼に終わらせず、これからの平和のための活動にしなくてはならない」とあいさつした。
 張大興・駐長崎中国総領事も参列し「日中関係は複雑な状況にあるが、追悼式を通じて、長崎の対中友好関係を引き継いでほしい」と述べた。

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