「ナイフで襲い掛かってきた」市営住宅の女性刺殺 23歳被告、無罪主張 

京都地裁

 京都市下京区の市営住宅で2020年10月、住人の女性が刺殺された事件で、殺人などの罪に問われた無職戸塚那生(なおき)被告(23)の裁判員裁判の初公判が10日、京都地裁(川上宏裁判長)であった。戸塚被告は「死なせたことは事実だが、女性がナイフで襲いかかってきたから起きてしまった」と述べた。弁護側は殺意を否認した上で、正当防衛による無罪を主張した。

 起訴状などによると、20年10月6日夜~7日夜、下京区河原町通塩小路下ルの市営住宅の一室で、住人のアルバイト女性=当時(24)=の胸や首、顔面などを折りたたみナイフで複数回突き刺し、殺害したとしている。

 検察側は冒頭陳述で、戸塚被告は交流サイト(SNS)で知り合った女性に会うため、夜行バスで東京から訪れたと説明。犯行状況について「めった刺しにしており、死ぬ危険が高いと分かっていた」と殺意を指摘した。女性から襲いかかったことはなく、正当防衛は成立しないと強調した。

 弁護側は、一緒にいた女性が態度を急変させ、ナイフを手にしたことからもみ合いになり、「(被告は)自分を守るために無我夢中で刺した」と主張。仮に正当防衛が認められなくても過剰防衛に当たると述べた。

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