朝乃山豪快1勝 宇良を土俵下に投げ捨て 名古屋場所

  ●初日黒星引きずらず

 大相撲名古屋場所(ドルフィンズアリーナ)2日目の10日、東前頭4枚目の朝乃山(富山市呉羽町出身、富山商高OB、高砂部屋)は西前頭4枚目の宇良(木瀬部屋)との人気力士対決を制し、今場所初白星を挙げた。初日は同3枚目の明生に黒星を喫したが、立て直した。朝乃山は「1勝できたので、ここから連勝していきたい」と決意を新たにした。

 知名度抜群の業師とは初顔合わせ。朝乃山は「土俵際がしぶとい」と警戒して臨んだ。

 突き、押しから右四つ。右へ回る相手に付いていくが、足が流れる場面も。左上手を引きつけた寄りは膝が伸びて決めきれず。左脚1本で懸命に残す宇良を強引に土俵下まで投げ捨て、落ち着いて勝負を決めた。

 初日の明生戦は踏み込みは悪くなかったが、取り口が冷静さに欠けた。右の差し手は不十分で、左上手にも届かない。強引に前へ出ると上体が起き、相手を懐に入れてしまう。投げに乗じて出た土俵際で腰が入り、浴びせ倒しに膝からあおむけに崩れ落ちた。「自分の形をつくって攻めるべきだった。そこは精神面の弱さ」と反省を口にした。

 初日の黒星は大関だった2021年初場所以来。2日目の取組後、朝乃山は「黒星はつき物だけど、初日は久しぶりだったので悔しかった」と振り返った。ただ、21年初場所では最終的に11勝を挙げており、ここからの挽回に期待が掛かる。

 初日の夜には母の石橋佳美さんから「勝ち急いだね。どんまい」とのメッセージが届いた。2日目も腰高の攻めだっただけに、母の指摘には同感で「もっと腰を割って寄らないといけない」と指摘した。

 不祥事による6場所出場停止から復帰して名古屋場所で1年。三段目から幕内上位まで番付を戻し、20代最後の真夏の土俵に挑む。朝乃山は「お客さんが多いので相撲の取りがいがある。切り替えて頑張りたい」と前を向いた。

 3日目は東前頭5枚目の平戸海(境川部屋)と対戦する。16年春場所で初土俵を踏んだ同期生で、先場所は朝乃山が勝利している。

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